日向薬師宝城坊(内藤京介住職)で4月15日、春季例大祭が執り行われた行われた。

日本三薬師のひとつに数えられ、源頼朝や北条政子も参詣したとされる同薬師。この日は朝から晴天に恵まれ、午後にかけて気温が上がる中、古来から続く山岳信仰の様子を一目見ようと、多くの観光客が来場していた。

境内では山伏姿の修験者に扮した神木のぼり保存会(成瀬徳春代表)が、「山伏問答」に始まり、弓矢で四方の邪気を祓う儀式などのあと、境内に立てられた高さ5メートルのシイの木に登り、山伏が参詣者の安穏平和などを祈る口上を読み上げる「神木のぼり」を披露。流ちょうに語られる山伏の口上に、観客から大きな拍手が沸き起こった。

その後、壇の薪木に火が入り、参詣者の願いが書かれた護摩木が火の中に投げ入れられる「柴燈護摩」が行われ、火がほぼ燃えつきたところで行者が素足で渡る「火渡り」を実施。行者に続いて参詣者らが灰の上を次々に渡っていった。

かながわのまつり50選

日向薬師の例大祭は、かながわのまつり50選にも選ばれ、神木のぼりは古来より続く山伏の峯入りの様子を今に伝える数少ない伝統行事。明治初期の神仏分離などで途絶えたが、1974年に復活。以来、地元有志による同保存会によって執り行われていて、市の無形民俗文化財にも登録されている。

観客からは「初めて見たが火柱がすごく、驚いた。口上や問答などが流ちょうで素晴らしかった」などの声が上がっていた。