株主らの前で、三木谷氏が言及した財務戦略の「中期的なプラン」。その一端は、総会の直後に明らかになった。

楽天は4月1日、金融事業の大規模な再編に向けた協議を始めたと公表した。今年10月を目標に、銀行、証券、クレジットカードなどの金融子会社を1つのグループへと集約することを想定しており、経営の効率化や連携の強化を進める。

業績堅調な金融事業を一体運営することで収益力をより一層高め、財務基盤の改善につなげる狙いもあるとみられる。

挑戦する姿勢に応援の声も

「国内で頑張る会社だから応援しているし、無配でももう少し我慢する。アマゾンなど海外企業にやられると税金が日本に落ちなくなる」。総会に参加した株主からは、国内のIT企業として新事業に挑戦する姿勢に対し、純粋に期待する声も聞かれた。

「将来的な大きな成長について、大変大きな自信とそれを実現する覚悟がある」と胸を張ったという三木谷氏に対し、期待と不満が入り混じる様子を見せた株主たち。長かった暗闇の先に一筋の光が見え始めた楽天は、本当にトンネルから抜け出すことができるのか。その確信度合いをめぐる両者の隔たりに、煮え切らなさも感じさせられる総会だった。

著者:茶山 瞭