中国製の風力発電装置に対する調査開始は、寝耳に水の決定ではない。欧州委員会は2023年10月、風力エネルギー業界における公正な競争環境を確保するため、海外の風力発電装置メーカーによる不公正取引を注視していると表明していた。

欧州委員会のマルグレーテ・ベステアー上級副委員長は、反補助金調査のさらなる拡大を示唆する(写真は同委のウェブサイトより)

ここ数年、ヨーロッパの風力発電装置メーカーはインフレ高進の影響(による原材料費や人件費の高騰)で深刻な経営難に陥り、悲鳴を上げている。例えばドイツのシーメンス・エナジーは、2023年9月期の通期決算で45億8800万ユーロ(約7563億円)もの最終赤字を計上した。

鉄道車両や太陽光パネルも

中国製品を狙い撃ちする欧州委員会の保護貿易的な対応は、風力発電装置に対してだけではない。前述の声明の中でベステアー氏は、「外国企業が(EU域内での)公開入札において不当な競争優位を獲得した疑いがある場合、われわれはすべて詳しく調査する」と述べた。

例えば2024年2月、欧州委員会はブルガリア政府による鉄道車両の大量調達計画について、FSRに基づく調査を開始。その結果、中国の大手国有メーカーが入札撤回を余儀なくされた。

さらに2024年4月3日、欧州委員会はルーマニア政府が実施した太陽光発電所の建設・運営の入札について調査を始めると発表。この入札には、中国の太陽光パネル大手の隆基緑能科技(ロンジ)と国有重電大手の上海電気集団の子会社が参加していた。

(財新記者:趙煊)
※原文の配信は4月10日

著者:財新 Biz&Tech