今回の衆議院補欠選挙で、自民党はなぜ3戦全敗になったのか。そして岸田総理の本音、さらには次の一手について、40年以上にわたり政治を取材してきたジャーナリスト・後藤謙次さんに聞きました。

■後藤さん「無為無策選挙」なぜ補選3戦全敗?

後藤さん「無為無策選挙」

(Q.どうして今回の補選は自民党が3戦全敗したと思いますか?)

後藤さん
「補選はあらかじめ決まっていたわけですが、全く手を打たなかった。私に言わせると、『無為無策選挙』でした。つまり、候補者も相手候補も分かっていて、自分たちが裏金問題で苦戦しているということがわかっていました」

「では、裏金問題にどのように対処すれば国民が納得するのか。これは1月から、捜査が終わってからずっと続いてきて、有効な手立てを打たないまま。相撲で言えば、(立ち合いで)ボーッと立ってしまった。きちんとこういう手でやろうということが全くないまま、選挙戦本番に突入したということですね」
後藤さん「感情的な問題」

(Q.岸田総理は、なぜ何も手を打たなかったのでしょうか?)

後藤さん
「おそらく、今、自民党執行部と岸田さんの間にはずっと隙間風(すきまかぜ)が吹いているわけです」

「とりわけ岸田総裁(総理)と茂木幹事長の間は本当に表裏一体で、2021年に茂木幹事長が誕生してからまさに二人三脚で行かなければいけないんです。いけないんですが、岸田派はどうしても第4派閥でした。その上、安倍元総理が当時は健在でしたから、安倍派から麻生派、茂木派、その第4派閥の岸田氏にとっては、絶えずこの上の3人を気にしながら動かなければいけなかった」

「そして、茂木幹事長にしてみれば、岸田総理より年上で当選も同期、閣僚経験もはるかに豊富だと。この複雑な精神状態から『本腰を入れて岸田政権を支えよう』という気分がずっと伝わってこなかったんです。それだけ今度の局面がとりわけ大きく影響したと思いますね。その感情的な問題が」