プーチン大統領は16日、北京を訪問した。プーチン氏の訪中は通算5期目に入って初の外国訪問で、習近平国家主席と会談した。16日午前11時ごろ、習氏がプーチン氏を出迎え、当日の日程が終了する午後11時まで、12時間以上共に過ごし、絆を深め合った。プーチン氏は少人数会合で、「ロシアと中国は協力を進展させてきた。中国は貿易と経済の主要なパートナーだ」と述べ、中ロの蜜月関係を強調した。プーチン氏の新内閣の閣僚多数が、今回の中国訪問に同行した。欧米からの制裁が強まる中、経済・産業分野で中国との結びつきを強化する狙いがあると見られる。経済学者出身のベロウソフ新国防相をはじめ、安全保障会議書記に転出したショイグ氏も同行したほか、ラブロフ外相、マントュロフ第1副首相、さらに、石油会社、製薬会社などのオリガルヒらも加わった。

ロシアと米欧が対立する中、ウクライナ侵攻については、習氏は「双方は政治的解決が正しい方向との認識で一致した」と述べ、プーチン氏は「ウクライナ危機の解決に向けた北京の努力に感謝している」と謝意を示した。ロシアは、車両・軍事用品をはじめ、工作機械、マイクロエレクトロニクス、ニトロセルロースなど軍事転用が可能となるデュアルユース品を中国からの輸入に頼っている。中国のロシアへの支援について、ブリンケン米国務長官は1日、「中国からロシアへのデュアルユース商品の輸出は、ロシアの防衛生産を大幅に増加させるのに役立っており、ロシアの工作機械の70%、マイクロエレクトロニクスの90%は中国からのものだ」と警戒感を示した。これに対して、中国外務省の汪文斌副報道局長は15日、「中国は軍需品の輸出に慎重であり、責任ある対応をとっている。デュアルユース品を厳しく管理している」と反論した。

習近平国家主席はプーチン氏の訪中に先立ち、6日にフランスを訪問し、マクロン大統領と欧州連合のフォンデアライエン委員長と会談を行った。7、8日にはセルビア、8,9日にはハンガリーを訪問し、オルバン首相と会談するなど、欧州3カ国と協力関係を構築し、外交の成果を誇った。一方、ブリンケン米国務長官は4月末に中国を訪問し、習近平国家主席や王毅外相らと会談。ブリンケン氏は、「ロシアの国防産業基盤に対する中国の支援が、ロシアによるウクライナ戦争の遂行を可能にし、欧州と大西洋の安全保障を損なっている」と述べ、中国に対する懸念を示した。米国務省のパテル報道官は10日、「(中国は)欧州安全保障に対する長年の最大の脅威。(ロシアへの)支援を続けながら、欧州などとの関係を求めているが、両立させることはできない。中国によるロシアの防衛産業への支援はウクライナだけでなく、欧州の安全保障をも脅かす」と強調した。

★ゲスト: 柯隆(東京財団政策研究所主席研究員)、長谷川雄之(防衛省防衛研究所)
★アンカー:アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)