イランのライシ大統領(63)と外相らを乗せたヘリが墜落し、全員が死亡したと国営メディアが伝えました。

ライシ大統領は、国内における地位は、最高指導者・ハメネイ氏に次ぐナンバー2。ハメネイ氏と同じ保守強硬派で、後継者としての呼び声も高かった人物です。

遺体はすでに収容され、別の場所に移されました。

事故が起きる数時間前、ライシ大統領がいたのは、隣国・アゼルバイジャンとの国境付近。両国の共同プロジェクトとして進めていたダムと水力発電所の完成記念式典に出席していました。

2つのダムを視察したあと、ライシ大統領は、南に130キロ離れたタブリーズに向かおうとしたのですが、その途中、約30キロの地点で墜落したとみられています。このあたりは、標高2500メートルクラスの山岳地帯。普段から気流が乱れやすいうえに、当事は、かなり濃い霧が出ていたようです。

視界不良のなか、突然、現れた山肌に激突した可能性があります。ガザ地区を巡って激しく対立しているイスラエルも事故への関与を否定しています。

20日、臨時の大統領が任命されましたが、すぐにでも大統領選挙を行わなければいけないと憲法に規定されています。

イラン最高指導者・ハメネイ師の声明:「親愛なるイラン国民にお悔みを申し上げます。モフベル氏は、50日以内に新大統領を選出させる義務があります」

ナンバー2の突然の死去。影響は、国内だけにとどまらないかもしれません。
米外交政策系シンクタンク トリタ・パルシ氏:「イラン政権のかじ取りが、数年先まで狂うことは明らかです。最高指導者が高齢なこともあり、後継者選びが最大の問題になる。後継者選びが過熱して、政権が行き詰まることがあれば、イランの圧力によって自制しているアメリカに敵対的な民兵組織が米軍への攻撃を再開する恐れがある」

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