元イングランド代表のポール・ガスコイン氏が、今はホームレスになっていることを明かしている。イギリス『デイリー・メール』が伝えている。

ニューカッスルで現役をスタートさせ、トッテナムやラツィオ、レンジャーズなどでプレーしたガスコイン氏。イングランド代表でも1990年のワールドカップや96年のユーロに出場するなど通算57試合の出場数を誇り、“ガッザ”の愛称で人気を集めていた。

トロフィーこそ掲げられなかったものの、数々の個人賞を獲得し2002年に引退。しかし、その後は酒に溺れ、度々暴力事件などの問題を起こすことに。長年アルコール依存症との戦いを続けている。

そのガスコイン氏が、『High Performance Originals』というポッドキャストに出演し、自身の近況を語っている。

「昔は幸せな酔っ払いだったが、今は違う。悲しい酔っ払いだ。外に飲みに行かず、室内で飲むんだ」

「ポール・ガスコインは誰もが知っているけど、ガッザは誰も知らない。時に僕でさえね。靭帯を痛め、ヒザを痛め、4年間サッカーができなかった。(それがなければ)イングランド代表として)100キャップは到達しただろう」

「なるべく落ち込まないようにしている。本当に落ち込んだときは、自分を励ますためだけに飲むようにしている」

「監督や選手、ファンを失望させたとは思っていない。失望させたとしたら、それは自分自身だ。でも、プレーを終えた後は、酒を飲むことのほうが多かった」

今なおアルコール依存症に苦しむガスコイン氏だが、その影響からかパブでサッカーを観ることはほとんどしていないようだ。

「嫌な一日にしたければ、(必要なのは)パブに行くことだけだ。いい日にしたいなら、竿を取り出して釣りに行くんだ」

「酒を飲むことではなく、飲んだ後が問題なんだ。酒を飲んだ後に携帯を見ると、30件のメッセージや不在着信があって、問題になったと思う。でも、今はもう大丈夫だ。去年は2、3ヶ月間、飲んだり飲まなかったりで、あまりいい年じゃなかった」

そして、今はアルコールの代わりにモカやコーヒーを摂取するようにしているとのこと。モカは1日で15パックも消費するという。

「本当に簡単なことで、なるべく近寄らないようにしているだけなんだ。飲み物を飲むとしたら、飲みたいから飲むだけで、特別な理由があるわけじゃない。酒を飲んでいた頃は、たくさんの人のせいにしていた。『あいつがあんなことをしたからだ』『こんなことになったから』とね」

また、ガスコイン氏は身近な人からも支えられているようで、今はホームレスだが、自身の代理人の家に居候させてもらいながら、講演などをして闘病を続けているようだ。

「数年前の11月に、泣きながらケイティ(代理人)に電話したんだ

「(講演では)自分自身のことや他の人たちに何をさせたか、刑務所に入ったり、リハビリ施設に入ったり、便座からコカインを取ったりして、そして国の大使になれと言われたときは笑っていいのか泣いていいのかわからなかったというような話をする」

「このような場では、サッカーの話はほとんどしない。私は観客を笑わせなければならないからね。ステージで泣いたことも何度かある。土曜日は、みんなを楽しませることが恋しくなるんだ」

「感情的になることもある。泣くのに時間はかからない。分かち合うべきことでも、人と分かち合うのが怖くなる。そのことを気にはしていないけど、私は大人になれないと思う」

「それでも、私は人々に与えたものを誇りに思っている。10個のチャリティ団体に100万ポンド(約1億9000万円)近くを寄付してきたんだ」

「諦めたことはない。諦めるのは、棺桶に入ったときだと思う。その時を除けば、私は戦い続けるだろう」