「敵に塩を送る」とは、あえて敵のピンチを助けることを意味する言葉。戦国時代、武田信玄の苦境にその宿敵・上杉謙信が塩を送ったことが由来とされるが、もし送ったものが塩ではなく「あのお菓子」だったら…?

津夏なつな(@tunatu727)さんの創作4コマ「敵に大判焼きを送る」に、X上で「諸刃の剣」「禁断の技」「だから名前を呼んじゃいけない」と多くの笑いとツッコミの声が寄せられている。

上杉軍から贈り物が届いた武田軍。包みの中身は餡を小麦粉生地で包んだ和菓子で、武田信玄は「ほう…今川焼か」とつぶやく。だが家臣は「あじまんじゃん」「回転焼きでござる」「御座候で候」とみな呼び名が異なり、仲間割れを始めてしまう。計略が成功した上杉軍はほくそ笑むものの――?という4コマ。お菓子一つで武田・上杉両軍がめちゃくちゃになってしまう壮大すぎるオチだが、「今川焼・回転焼・大判焼…」と、“あるある”な呼び名論争を自身の作品でどうアレンジしていったのか、作者の津夏さんに話を訊いた。

■「時代背景をあえて無視」定番ネタの活かし方

――敵に塩ではなく“あのお菓子”を送ったら…?という切り口がユニークです。アイデアのきっかけを教えてください。

【津夏なつな】大判焼きの呼び名でたびたび論争を見かけるので、「これを投じればコミュニティを崩壊させられるのでは…!」と思いついたのがきっかけです。

――今川焼の呼び名はいわゆる「あるあるネタ」の代表ですが、定番ネタを自分の作品に取り入れるうえでのポイントはありますか?

【津夏なつな】あ、今川焼派なんですね(笑)。定番ネタは多くの人が考えているので、なるべく他人と被らないようなネタにしなければと心がけています。今回はあえて時代背景などを思いっきり無視して描きました(笑)。きっと誰も描いてないはず…!

――常に名前論争を呼ぶお菓子だけに、SNSでも多くのコメントが寄せられました。反響への思いや気になった声があれば教えてください。

【津夏なつな】このネタを公開することで、きっと多くの人がそれぞれの呼び名を披露してくれるだろうという目論見がありました。期待通りとてもにぎやかなリプライ欄に仕上がり、それらを眺めるだけでも楽しい作品になったんじゃないかなと思います。読者から寄せられた「ベイクドモチョモチョ」という呼び名には衝撃を受けました(笑)。

――この4コマで興味を持った方に向けて、最近の作品で反響の多かった作品やお気に入りのネタを教えてください。

【津夏なつな】最近の作品で反響が多くて個人的なお気に入りはRPGあるあるシリーズ「勇者の直感」とおとぎ話シリーズ「スマート鏡」の二本です。自信もあったのでちゃんと反響がもらえてうれしかったです。

取材協力:津夏なつな(@tunatu727)