いわゆる「毒親」による虐待やネグレクトなど、子育てをめぐる問題は後を絶たない。家庭内の問題には行政の介入が難しく、そうした問題が解決するケースは多いとは言えないのが現状だ。そんな中、漫画家・小野寺こころさんが自身の経験を元に描いた漫画「だんしゃり」が話題だ。本作を描いた背景など、制作への思いを小野寺こころさんに語ってもらった。


■「親に読まれたら苦い顔されるんだろうなぁ、って感じです」

本作は「モーニング月例賞」で佳作に選出されるなど、各方面から高く評価された。他にも、「ららばい」「レンコンになりたい」などの作品をSNSに投稿すると大きな反響が寄せられ、現在はサンデーうぇぶり(小学館)で「スクールバック」を連載中だ。

自身の経験を漫画で描くにあたり苦労したことを尋ねると、小野寺さんは「執筆自体を苦労だと思うことはないのですが、テーマや内容が重いものだったり、実体験をベースにしているので、嫌な出来事やトラウマと向き合わないといけなくなるので、できる範囲で自分に優しくしようとはしています」と告白。当時の心境を作品に刻みつける作業は、やはり簡単なことではなかったようだ。

モデルとなった自身の家庭環境が生々しく描かれていることから、「親に読まれたら苦い顔されるんだろうなぁ、って感じです」と正直な思いを明かしてくれた小野寺さん。それでも、人との出会いや環境の変化によって人生が好転していく様子に救われる気持ちとなった読者も多いはず。実際に家庭環境で悩んでいる人にこそ届いてほしい作品だ。



■取材協力:小野寺こころ(@onoderaKOKORO8)