「高っけ〜なぁ〜」なんて声の出る高速道路料金! 運営会社が独自に決めてるワケじゃなかった

この記事をまとめると

■高速道路の通行料は距離に応じた料金と1利用あたりの固定料金をプラスしたもの

■高速道路利用料金は公共交通機関運賃と比較し公正妥当と認められる水準に設定されている

■普通車区分料金のなかで重量に応じた料金設定がないために公平性が保てていない

高速道路利用料金は距離や車両区分により変わってくる

 長距離移動や帰省などで利用することがある高速道路。そんな高速道路は、利用するために料金を支払う必要があります。

 では、高速道路の料金はどのようにしてしまっているのでしょうか。今回は、高速道路料金の決め方について解説します。

高速道路料金の基本は距離

 高速道路の料金の基本的な考え方は「距離」です。また、距離に応じた料金に加え、「ターミナルチャージ(1利用あたりの固定料金)」がプラスされます。つまり、一般的な高速道路(NEXCO)の料金の計算式は次のようになります。

 高速道路料金の基本計算式:「(1kmあたりの料金×距離+ターミナルチャージ)×1.1(消費税)」
※算出後料金の端数は四捨五入して10円単位となります
※算出後の料金が1万円を超える場合は100円未満の端数を切捨して計算されます
(NEXCO西日本より)

 また、100kmを超える長距離走行の場合、利用料金が割引されます。割引は、100km超から200kmまでが25%、200kmを超える場合は30%割引されます。

 ここで紹介した高速道路料金は、あくまでもNEXCOが公表している計算式です。その他の有料道路の利用料金は、道路によって異なるため注意しなければなりません。

 たとえば、高速自動車国道ではない有料道路(東京湾アクアライン・圏央道・京葉道路・第三京浜道路・横浜新道・横浜横須賀道路・仙台東部道路など)は、道路ごとに要した総費用に応じて料金が定められています。そのため、前述した一般的な計算式とは異なる計算式で利用料金が計算されます。

料金はどのように決まるのか?

 そもそも、高速道路の利用料金は、どのようにして決まるのでしょうか。

 NEXCO中日本によると、「通行料金は高速道路の新設・改築・維持・修繕その他の管理に要する費用を、料金収入で償えるように設定している」とのことです。また、「物価水準や他の公共交通機関の運賃などと比べて社会的に公正妥当と認められる水準の料金設定している」と公表しています。

 この考え方は、道路整備特別措置法第23条に定められている内容に則したものとなっています。NEXCOでは、国土交通大臣に通行料金の申請を行い、国土交通大臣の許可を受けて通行料金を設定することになっていることから、不当な通行料金を請求されることはないということです。

高速道路利用料金はまだ見直す余地がある

同じルートでもクルマによって料金が異なる理由

 高速道路では、全く同じルートを通っても、「二輪・軽」、「普通車」、「中型車」、「大型車」、「特大車」で利用料金が異なります。

 高速道路料金が5つに区分されているのは、次のような理由があるためです。

 1.原因者負担の考え方

 車両の大きさや重量、沿道への影響などの違いが、高速道路の建設費・管理費などの費用に与える影響を分析し、その影響の度合いに応じて、高速道路にかかる費用を各車種が分担し合う考え方。

 2.占有者負担の考え方

 車両の長さや安全のために必要とする前後のスペースなど、車両が高速道路を空間的・時間的に占有する度合いに応じて、高速道路にかかる費用を各車種が分担し合う考え方。

 3.受益者負担の考え方

 高速道路を走行することによって得られる便益(ほかの道路を利用する場合と比べたときに得られる時間や走行経費の節約分)に応じて、高速道路にかかる費用を各車種が分担し合う考え方。

 このような考え方に基づき、車種区分がされているとNEXCOでは公表しています。

 また、二輪車と軽自動車が同一料金になるのは、車両の大きさ・重量・乗車可能人員などの違いがあるものの、どちらも走行するときに1車線を必要とし、法定の最高速度が100km/hであることや1〜3の考え方などが同程度であるため、同じ区分に分類されているとのことです。

車両重量が軽くても重くても料金が変わらないのはなぜ?

 高速道路の利用料金は、クルマの大きさや重量なども考慮されて設定されているとわかったところで疑問に思うのは、「同じ区分のクルマでも道路にかかる負荷が異なるのに同じ利用料金になるのはなぜ?」ということです。

 具体的な例は次のような場合です。
・重量が軽い普通車と重量が重い普通車(EVを含む)の料金が同じ

 そのほかにも次のような事例があります。
・中型免許で運転できるクルマでも大型車の料金になる
など。

 このようになるのはなぜなのでしょうか。

 NEXCO西日本によると、「高速道路の車種区分については、恣意的になることを避けるため、運行の用に供される自動車に関して規定している道路運送車両法等の法令において、用途・規格等を基準として定められている自動車の種別をもとに設定しており、道路交通法に定める運転免許の自動車区分とは異なります。よって、たとえば、中型自動車免許で運転することができる、車両総重量8t以上11t未満、最大積載量が5t以上6.5t未満の車両については「大型車」の料金区分となります」とのことです。

 つまり、車両の重量によって料金の区分が異なるということです。

 この考え方であれば、車種によって重量が異なる普通車も、重量に応じた料金設定されていても不思議ではありません。

 しかし、現在の料金設定では、普通車の車両重量に応じた料金設定がされていないため、重量が軽い普通車と重量が重い普通車(EVを含む)の料金が同じになっているのです。

 今後、料金設定の変更等によって、重量に応じた通行料金になるかどうかはわかりません。

 ただ、ひとつの考え方として、同じクルマでも道路への負荷が小さいクルマが優遇されるという措置があってもよいのではないかと筆者は考えています。