子育て中のママ・パパの悩みを臨床心理士・公認心理士に相談する『子育て心理カウンセリングルーム』。今回は、小学生の息子さんについてのママのお悩みです。「二年生になった長男との人間関係に悩んでいます」というその訳は……。

注意すると、キレる・物に当たる息子……どうすればいい?

最近、二年生になった長男との人間関係に悩んでいます。

今までも、片付けするよう何度促してもすぐには動きませんでしたが、小学生になってからは、動かないどころか文句を言うようになってしまいました。そして、注意されると嫌なのか、キレたり、物に当たったりします。

どう声をかけたらいいでしょうか。

(30歳・女性・建設・土木/事務系専門職)

お困り度:★★★★★★★★★☆

家族構成:自分30歳、夫30歳、長男7歳、次男4歳

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今回の心理カウンセラー 大岡みほ 先生(臨床心理士・公認心理師)
(うららか相談室)

忙しい毎日、お片付けをさっと済ませてくれたら楽ですよね。

大人は次に何をすべきかを分かっていますし、時間を見ながら声かけをしているので、なかなか思うように動いてくれないとストレスがたまって当たり前です。

さらに、すぐに片づけてくれないだけでなく、お子さんが怒ってしまうとなると本当に大変ですね。

関係を少しでも改善させるために大切なポイントをご紹介しますので、チェックしてみてくださいね。

■言葉は正しく・楽しく理解できてる?

下の4歳の息子さんと比べれば立派なお兄ちゃんにも思えるかもしれませんが、7歳はまだまだ言葉の理解が不十分な時があります。

例えば、「遊びの時間は終わりだよ、〇〇ちゃん(玩具など)をお家に戻してあげようね」などと子ども目線で共感できるような言葉で促したり、「あの箱までどちらが先に入れられるかな? よーいどん!」と言って遊びの延長で一緒に片付けをしたりといった経験を重ねていることが大切です。

もし、小学校に上がる前から、声かけの内容が「片付けなさい」ばかりで、一緒に遊びながらお手本を示したことが少ないのであれば、今からでも試してみましょう。作業の目的をはっきりと理解して、その瞬間に少しでも楽しさを感じられるとお子さんの反応は違ってきます。

■片付け方法は分かりやすい?

片付けると一言で言っても、「何を・どこに・どのように」戻せばいいのかが分かりにくい状況だと、お子さんは戸惑ってしまうでしょう。種類ごとに入れる箱などを決めて、できるだけすぐに手が届く場所に決めておくという工夫も必要ですね。

■タイミングは悪くない?

お子さんがすぐに片付けられないのには理由があります。

まだそのこと(読書や遊びなど)を続けていたいからやめられないことがほとんどだと思います。つまりお子さんにとって、まだ片付けのタイミングが来ていないのですね。お子さんの性格傾向に合わせて、すぐにやめられないことは予想した上で少し前から声掛けを始めましょう。

■大声で命令していない?

何度言っても聞かないと、「何度言わせるの!片付けなさい!」とか「いいかげん言うことをききなさい!」などと思わず大きな声で叱ってしまいたくなりますよね。でも、命令口調は逆効果です。なぜなら、厳しい口調で一方的に言われると、自尊心が傷付き、さらにイライラが増してしまうからです。

遠くから怒鳴るよりも「次にすることがあるよ」「待っているよ」とできるだけお子さんのそばに近付いて、穏やかな口調と表情で伝えることが必要です。

なぜ近づいて伝える必要があるの? と思うかもしれません。実は、お子さんが行動や気持ちを切り替えなければいけないときには、ちょっとしたやりとりを行うと効果的なのです。例えば、もしかしたらお子さんが「ねぇこれ見て」と何かを言いたくなっているかもしれません。近くから話しかけてもらえると、そういうことが伝えやすいのです。

「それはもうおしまいにして、〇〇を◇◇に戻そうね」など、具体的な内容で話しかけてみてください。「時計の針がどこまで来たら終わりそう?」と質問をして、期限を本人に決めてもらうのも1つの方法です。ついつい大声がでてしまう場合は「✕✕の時間ですよー、片付けをしてくださーい」などと、意識して柔らかい言葉を使ってみるのも良いでしょう。

反抗的な態度を見ると、なんで悪い子になってしまったのだろうと思う親御さんもいますが、決してそうではありません。

自分のペースで動けるようになり、自己主張できる段階へとちゃんと育っている証拠ですので、どうか安心してください。そして、穏やかな会話のキャッチボールや遊び心を大切にしてくださいね。

(文:臨床心理士 大岡みほ/うららか相談室)

この記事の執筆者 臨床心理士・公認心理師
大岡みほ 先生
臨床心理学系大学院を卒業後、精神科・心療内科の心理相談室常勤心理士となる。その後、小・中・高校、教育相談所などで心理相談に携わり、本人と家族のセラピーだけでなく、関係機関や地域との連携も経験する。一男一女の母。
現在、うららか相談室にてビデオ・電話によるオンラインカウンセリングを受付中。
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