見た目も中身も豪華な城から、味わい深い廃城まで、訪れることのできる城は全国に200はあるといわれています。その中でも日本人に特に人気のある城はどのような城なのでしょうか。口コミサイトで発表されたランキングをもとに分析します。

●一般の観光客に人気の城は?

 観光口コミサイト「トリップアドバイザー」は、ユーザーの評価や投稿数などをもとに、毎年「旅好きが選ぶ!日本の城 ランキング」を発表しています。2020年のランキングでは、以下の通りとなりました。

1位:姫路城
2位:松本城
3位:松山城
4位:松江城
5位:二条城
6位:勝連城跡
7位:高知城
8位:首里城
9位:熊本城
10位:中城城跡

 堂々の1位は兵庫県の姫路城。日本初の世界文化遺産になったことでも知られています。「白鷺城」の呼び名の通り、シラサギが翼を広げたかのような、まばゆいばかりの真っ白な天守が、訪れる人の目を惹きつけてやみません。「日本の美しい城」の代名詞と言えるほど、抜群の知名度の高さを誇っています。

 2位は長野県の松本城。現在、五重の天守を残す城は姫路城と松本城しかありません。雄大な北アルプスをバックにした景色に建つ平城の天守はまさに圧巻。また天守建物の色のバランスも素晴らしく、漆喰の白と漆塗りの黒の対比が絶妙な美しさを醸しだしています。外観は五重ですが内部の造りは六階になっているのも特徴の一つです。

 3位は愛媛県の松山城。壮麗な天守はもちろん、全国的にも珍しい「登り石垣」が最大のみどころです。高台に位置しているため天守から松山市を一望することができ、その大パノラマは迫力満点。ほど近い場所に夏目漱石の「坊っちゃん」ゆかりの道後温泉があるのも、旅好きとしては見逃せないポイントでしょう。

●城ファンが支持する城は?

 ではここで城ファンのための城情報サイト「ニッポン城めぐり」がまとめた「城ファンが訪れたお城ランキング2023発表」を見てみましょう。

1位:駿府城
2位:姫路城
3位:犬山城
4位:松本城
5位:岡山城
6位:松江城
7位:岡崎城
8位:彦根城
9位:小田原城
10位:浜松城

 姫路城を抑え1位に輝いたのは駿府城。NHK大河ドラマの反響もあり、見事首位に立ちました。そして2位に姫路城がランクイン。城ファンの間でもやはり圧倒的人気のようです。

 注目すべきは3位の犬山城。織田信長の叔父・信康が築城し、天守は日本最古のものとなっています。また、歴史上の人物として誰もが知っている信長・秀吉・家康がそれぞれの時代にこの城を手にしたことで、天下人への道を切りひらいてきたことでも知られています。「トリップアドバイザー」ではランク外であるものの、歴史の荒波を生き残ったその姿に魅せられたファンが大勢いたようです。

 いっぽう、「トリップアドバイザー」で3位だった松山城は、こちらではランク外の22位。コロナ禍の期間でなかなかアクセスが伸びなかったのか、ランキングは下降気味にあります。

●人気ポイントは「現存天守」

 姫路城、松本城、松山城、犬山城、松江城、彦根城。
 これらの城は「トリップアドバイザー」「ニッポン城めぐり」のどちらかにはランク10入りしています。共通しているのは、いずれの城も「現存天守」を持っているということ。

 現存天守とは、戦国・江戸期に築城されたままの姿で保存されている天守のことで、全国に12あります。中でも姫路城、彦根城、松本城、犬山城の4天守は国宝、その他は重要文化財に指定されています。

「日本の城」といえば誰もが立派な天守の姿を思い浮かべるでしょう。けれども日本各地にある天守のほとんどが明治〜昭和期に再建されたもの。また、石垣や堀の一部しかないような城も少なくありません。

 戦火をくぐりぬけ、丁寧に修復・補修されてきた現存12天守はそれだけ希少価値が高く、世界に誇るべき日本の宝として、ひときわ注目を集めているのです。

●人気の城を1度は見てみよう

 観光スポットにもなる城の多くは、城郭公園として整備されています。そのため、春の桜、夏の青葉、秋の紅葉、冬の雪景色と、自然と一体となった城の姿をシーズン問わず楽しむことができるはずです。

あなたもぜひ、ランク入りした美しい日本の城を訪れてみてはいかがでしょうか。

<参考サイト>
・トリップアドバイザー:旅好きが選ぶ!日本人に人気の日本の城ランキング 2020」
https://www.tripadvisor.jp/blog/wp-content/uploads/2020/08/200813_ver2_TripadvisorPressRelease.pdf
・ニッポン城めぐり:城ファンが訪れたお城ランキング2023発表
https://cmeg.jp/w/castle_columns/60