結婚したものの夫の両親からの干渉が強い、あるいは夫が親離れできていない…などなど、義実家とのコミュニケーションで悩みを抱えている妻は少なくないのでは?「恋人・夫婦仲相談所」の所長を務める三松真由美さんに解決策を教えてもらいます。

妻の幸福度を下げる「義両親」という存在

先日「「義両親と同居」すると女性の幸福度は大幅に下がる…長男と結婚した女性の三大不平・不満」(PRESIDENT Online)という記事を読みました。

記事を執筆した拓殖大学の佐藤一磨教授の研究によれば、夫が長男の場合、妻の幸福度は0.05ポイント低下し、cと同居した場合は0.12ポイント低下するのだそうです。

以前ほど「家長制度」が強くなくなった現在のニッポンですが、いまだに長男のほうが、他の兄弟よりも両親と同居する割合は高くなっています。同記事の中では義両親との同居割合は長男が12%に対して次男以下は3%という調査も紹介されています。

この2つの調査結果を掛け合わせると、長男と結婚→妻の幸福度が下がる義両親との同居が発生する可能性が高い→長男と結婚すると妻の幸福度が低下する、というフローができるようです。

また同記事では、長男ほど「金銭面よりも生活面(掃除・料理・買い物・雑用)で親の支援を行う傾向が強くなっている」ことが指摘されており、まさにこの「生活面での支援」が妻に重くのしかかり、妻の幸福度を下げていることは間違いありません。

注文はするが自分は何もしない義両親、夫は家事を放棄

義両親が高齢であればあるほど、息子に甘え、息子の家族から奉仕してもらうことを望む方も増えます。先日、私の主宰する夫婦仲相談所に相談を寄せてきたミサトさん(46歳仮名)の義両親はこのタイプ。

「普段は年寄り扱いされると機嫌が悪くなるのに、家事の話になると急に『あたしはもう年だから』と年寄りアピールをしてきます。『3度の食事は気を遣って、体にいいものを食べるようにしてるの』という割には自分ではほとんど料理せず、食事の支度は私たち夫婦の仕事です。義両親との同居前は、自称料理男子の夫も交代でキッチンに立っていたのですが、同居後は、『俺が作った料理が口に合わないとお袋に言われたから、俺はもうやらない』と、ふてくされて分担放棄。結局私に全部押し付けられています。

完全同居でキッチンが1つですが、日中は私もパートで不在なので、キッチンは空いています。義母が料理する時間は十分あるはずなのに『今日のお昼はお父さんとレトルトカレーしか食べてないから、夜はしっかりお野菜を食べなきゃ』と、私にプレッシャーをかけてきます。体にいいものを食べたいなら、自分で作れよと思ってます」

身勝手な義母の行動にふりまわされ、さらには自分が悪者扱い…

一方で、息子をいつまでも自分の指揮命令下におき、息子の家族も自分の思うように牛耳りたいタイプの義両親もよく耳にします。同じく相談を寄せてきたマコさん(31歳仮名)の義両親はこっちのタイプ。

「同居を持ち出してきた夫が『同じ建物でも完全二世帯だから、別々に住んでいるのと一緒だよ。玄関も違うんだから、顔を合わせる機会だってないよ』と言っていたのですが、まるで詐欺。息子大好き、かつ義父に先立たれて暇を持て余している義母は毎日うちに尋ねてきます。

合鍵を持っているので、こちらから出禁にする選択肢は無し。時には私が買い物に行っている間に勝手に上がり込んでリビングでTVを見ていることもあり、もう恐怖でしかありません。

そして、トイレの掃除が中途半端だの、3歳児にスマホを見せるなだの、ダメ出しを連発。私が無視してもしつこく言い続けます。夫にこのことを話しても『お袋もオヤジが亡くなって寂しいんだよ。とりあえず聞いてやれよ。冷たいな』とまるで私が悪者。いったい私はどうしたらいいんでしょうか」

義両親とのトラブル、本当に悪いのは誰?

読者の皆様はこの2つの事例をご覧になってどう思われましたか?

「ひどい義実家だなあ」と感じた方が多かったかもしれませんが、実はこの2つの事例、問題があるのは義実家ではなく夫のほうです。

実は同居における妻の幸福度のカギを握るのは義両親の性質ではなく息子(=夫)性質なのです。

最初のミサトさんの事例では「義母にまずいと言われたから」と料理の分担を放棄し、妻に料理を押しつけていながら、自分が被害者面をしている夫。次のマコさんの事例では、完全に義母の味方で妻をアウェイ状態にしている夫。

義実家の問題を解決するには、まず夫の意思確認からです。最初に確認しなければいけないのは

1.親とどのように関わっていくつもりなのか
2.妻と自分の親とどちらの味方なのか

の2点です。

「1」については、もし「親の希望をできるだけ通したい」と思うなら、文句を言われようと
自分がやりとおさないとダメです。逆に「自分の希望を通したい」と思うなら、親を自分で説得したり我慢させたりしなければいけません。放棄はやってはいけないこと。

「2」については、よく「時と場合に応じて」とか「正しいと思う方に味方をする」という方がいますが、夫であれば、たとえ妻が間違っていても妻の味方をせねば結婚の意味がありません。母親とは血がつながった親子、妻は元他人です。であればこそ、妻をまずは尊重し、そのあと、妻に対して間違いであることを指摘すればよいのです。それがむずかしい夫なら永遠に母子密着していただくしかありません。

妻として義実家と戦わなければならない場合に、まずしなければいけないのは「夫の覚悟を確認すること」です。それをせずに1人で戦っても、途中で味方に背後から切りつけられるような事態も起こりえます。

自分たちの価値観や生活スタイルを守る戦いには同志が必要です。夫にその覚悟があるのか、親の元に逃げ出すのか、関係ないと知らんふりをするのか、この点はみっちり時間をかけて突き詰めてください。

「あなたは親とどう関わろうと思っているの?」
「戦いが起こったらどっちの味方する?」

シンプルなこの問いを、先ずは夫にぶつけてみましょう。


◆監修・執筆/三松 真由美
会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、Webなど多数のメディアに出演、執筆。夫婦仲の改善方法や、セックスレス問題などに関する情報を発信している。『堂々再婚』『モンスターワイフ』など著書多数。

構成/サンキュ!編集部