いつかはマイホームを買いたい、と考えている人は多いでしょう。「ただし、10〜20年後に襲ってくる“住宅メンテナンスの嵐”のことを知らないと、後で大変なことになります!」と言うのは、節約アドバイザーの丸山晴美さん。“住宅メンテナンスの嵐”とは何か、どう対処すればいいのかを教えてもらいました。

みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。

お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。でも経済に関するお金の情報は、ちょっとむずかしいですよね。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「住宅メンテナンスの嵐」!

給湯器もガスコンロも、住宅設備の多くが10年過ぎると交換が必要!

キッチンやユニットバスといった住宅設備は、どのくらいで交換が必要になるかご存じですか?住宅産業協議会発行の本「住まいと設備のメンテナンススケジュールガイド 60年版」によると、だいたい以下のとおりです。

【10年程度で機器本体を交換】
・キッチンのレンジフードやガス・IHコンロ、食洗機など  
・混合水栓(蛇口から湯と水を混合して流す水栓金具) 
・換気扇  
・洗面台  
・トイレの温水洗浄便座  
・給湯器・エコキュート  
・床暖房

【15〜20年程度で機器本体を交換】
・キッチン本体  
・浴室のユニット全体  
・トイレの便器本体とタンク 

20〜30年は持つと思っている人が多いかもしれませんが、実はほとんどが10年を過ぎると故障する率が高くなり、修理や交換が必要になります。

これらをすべて1回交換した場合にかかる費用は、設備の種類やグレードによりますが、合計で300〜900万円くらい。しかも、それまでにも点検、修理や部品交換など、小規模のメンテナンス費用がかかる場合が多くあります。

10年程度で交換ということは、その後も10年くらいごとに交換時期がやってくるということ。これらを考えると、マイホームを手に入れる際は、メンテナンス費用のことも考えることが大切です。

スイッチも老朽化する!?体験してわかったメンテナンスの現実

私は20代のときに購入したマンションを、現在は賃貸物件として人に貸しているのですが、ここ数年はそのマンションのメンテナンスに予想以上のお金がかかり、驚いています。

前述の設備以外にも壁紙や床など、さまざまなところが順次、メンテナンスが必要になります。なかでも意外だったのが、スイッチやコンセントといった電気設備。実はスイッチやコンセントも10〜15年程度で交換が必要になるのです。

賃貸物件の場合、壁紙も6年で張り替えが必要です。自分が住んでいる場合は6年程度では張り替えないと思いますが、それでも10年、15年と経てば、破れたり黄ばんで汚れたりするでしょう。壁紙を張り替えるには家具を移動せねばならず、労力的にも金額的にもとても大変です。

また、給湯器やトイレの故障は、短期間でもとても不便です。私も賃借人から給湯器のお湯が出なくなったと連絡がきて交換したのですが、緊急の交換だったため、比較検討する時間もなく高額な給湯器を取りつけなければいけませんでした。

生活必需品の設備のメンテナンスほど、早め早めに行うことが大切と実感。現在は、賃貸管理会社のメンテナンス保証に加入し、賃貸中の交換費用などを軽減するようにしています。

メーカーなどの点検サービスと日頃のお手入れが節約につながる

戸建て住宅の場合は上記に加え、屋根や外壁なども自分で管理しなければなりません。マンションもだいたい10〜15年周期で大規模修繕が行われます。


大規模修繕の費用は積み立てているケースがほとんどですが、物価は上がり続けており、いざ修繕しようとしたときに積立金だけでは足りず、追加の費用が必要になる場合もよくあります。

このように、住まいのメンテナンスには予想以上の労力とお金がかかります。だからこそ、日頃から定期点検をしっかり受け、消耗品は自分で交換するなどしてお手入れを欠かさないことが大切です。

たとえばガス会社は、無料のガス設備定期保安点検を4年に1回行うことが法律で決められています。これらのサービスをできるだけ活用しましょう。

そして、給湯器など生活に欠かせない設備商品は、壊れるまで待つのではなく、調子がおかしくなった時点で修理を頼むなど、先手を打つのがおすすめです。

住まいのメンテナンスはやり方しだいで頻度を減らしたり、費用を安く上げたりすることは可能です。自分の家の状況をよく把握し、メンテナンス計画を考えてみましょう。

教えてくれたのは・・・
丸山晴美さん
22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て2001年、節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザーなどの資格を取得。身の回りの節約術やライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどを、テレビやラジオ、雑誌、講演などで行なっている。著書は「シングルママの『お金に困らない』本」(徳間書店)、「50代から知っておきたい!年金生活の不安、解消します」(共著)(幻冬舎)など多数。

構成/サンキュ!編集部