KKT杯バンテリンレディス

 女子ゴルフの国内ツアー・KKT杯バンテリンレディス最終日が14日、熊本空港CC(6518ヤード、パー72)で行われ、首位と3打差の3位で出た竹田麗央(りお・ヤマエグループHD)が3バーディー、1ボギーの70で回り、通算7アンダーの逆転でツアー初優勝を果たした。1993、94年賞金女王・平瀬真由美の姪で母・哲子さんも元プロゴルファー。重圧のかかる地元での優勝争いでも平常心でプレーできた裏には、2人の賞金女王にもらった助言があった。

 涙はない。淡々とプレーし、最後に少し頬を緩めた。最終18番パー5。竹田はわずか10センチほどのウィニングパットを沈めた。拍手にペコペコと初々しく会釈。「涙は出なかった。嬉しい気持ちだけ。拍手や『ナイスバーディー』の声が凄く力になりました」。自身も13歳で被災した熊本地震からちょうど8年。地元の声援に押され、粘り抜いた。

 2週前は単独首位で出た最終日に2位。「優勝したい気持ちが強すぎた」と悔し涙を流した。再び訪れた優勝争いだったが、3番でボギー。「優勝を考えずにやろう」。4番でラフから1メートル半に寄せて獲り返した。11番も15ヤードから30センチに寄せるバーディー。ともにオフに磨いた小技。単独首位から5つ落とした同組の岩井明愛を横目に「いつもより緊張しなかった」と土壇場で冷静さが光った。

 平常心の裏に2人の賞金女王の言葉があった。一人は通算18勝の叔母。大会3日前に「優勝は獲りにいっても獲れない。自然と来るから」と助言をもらった。言葉通りの自然体で上位につけ、迎えた最終日前夜。今度は2015、16年賞金女王のイ・ボミさんから「自分を信じて」とメッセージが届いた。ジュニア時代から憧れ、ギャラリーとしても見届けた人。すっと胸に響き、1打に集中した。

 アマ時代からプロツアーでも活躍し、21年11月の最終プロテストに合格。2年目の昨季はメルセデス・ランキング(MR)22位で初シードを獲得した。ドライバー平均飛距離はツアー3位の254.55ヤードと魅力たっぷり。「何勝もできる選手」を目指しながら「米国でプレーしたい」と夢は大きい。21歳に止まっている暇はない。

(THE ANSWER編集部)