改めて強さをアピールしたネリ撃破

 ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)の衝撃的勝利に海外から気の早い期待の声が上がっている。6日に東京ドームで元世界2階級制覇王者ルイス・ネリ(メキシコ)に6回1分22秒TKO勝ち。初回に喫したダウンから立ち直り、日本ボクシング界にとって因縁が深い“悪童”を成敗したドラマチックな展開に、米識者は絶賛の言葉を並べている。

 3度のダウンを奪う逆転TKOで世界に強さを誇示し、東京Dに集まった4万3000人を熱狂させた井上。米スポーツ専門局「ESPN」の元記者スティーブ・キム氏は、米スポーツ栄養企業「スナック」公式サイトに掲載されているブログに井上の称賛をつづった。

 タイトルは「月曜朝のモンスター」。まずは「この戦いに際し、イノウエには必要以上のプレッシャーがあった」と、ネリと山中慎介氏との因縁を紹介し、「期待されていたのはただのプロボクシングの試合ではなく、ヤマナカとその国の人たちにとっての報復としての公開処刑だった」と試合の背景を説明したうえで「これが試合の序盤イノウエを少し心配させたように見せた」と記した。

 とはいえ、試合は鮮やかな逆転勝利。「KOを何度も繰り返してきたボクサーにとって、また新たなハイライトになるKOだった。“ザ・モンスター”よりも長いグレイテスト・ヒッツアルバムを持つのは“プリンス”だけかもしれない」とユーモアを交えて表現すると、こう続けた。

「イノウエはボクシング界で最もエキサイティングなショーだ。彼は最も完成されたボクサーの1人。この日本人スターは4階級のチャンピオンであり、バンタム級とスーパーバンタム級の両方で4団体を統一している。ネリへの勝利は、リング誌がこの階級でトップ5にランク付けしたボクサーに対する3人目の勝利(スティーブン・フルトン、マーロン・タパレス)だ。3人全員がKOの犠牲者だ」

 さらにキム氏は「それに加え、彼は2019年には将来の殿堂入り選手ノニト・ドネアとの試合で『ファイト・オブ・ザ・イヤー』に選ばれ、2023年にはリング誌の『ファイター・オブ・ザ・イヤー』に選出されている。彼がもし今日引退したら、間違いなく一発で殿堂入りだ」と太鼓判。米国では未明から早朝にあたる時間帯でのゴングだったが「この男は早起きして見る価値がある」と記している。

(THE ANSWER編集部)