【神奈川】脳出血などで後遺症が残ったフォトグラファー3人の写真展が横浜市で開かれている。「後遺症があってもいろんなことができる。写真を見た人の背中を押せれば」と3人は話す。

 タイトルは「No Damage,No Life. 脳ダメージがあってこその、人生」。さまざまな障害がある人やそれを支える家族に見てほしいとの願いをこめた。

 呼びかけたのは、横浜市のプロカメラマン川名マッキーさん(60)。2020年6月、帰宅途中に脳卒中で車の助手席で倒れた。右手足の感覚がなく、発音したくても声にならなかった。

 一度はカメラをあきらめたが、入院中に片手でカメラを触り、工夫して左手だけでシャッターが押せるようになった。現在は電動車いすを使って人物を撮影し、写真講座も開く。

 いい表情を撮るためには被写体との言葉のキャッチボールが重要で、妻アキコさんが支える。川名さんは「あきらめている人に『半歩でいいので足を出してみませんか』と問いかけたい」。

 12年前に脳出血で倒れ、話したり聞いたりすることが難しくなる失語症になった川崎市の会社員加藤俊樹さん(59)は、ゾウガメが何かを訴えているような写真を出展した。「すべての写真に意味がある。それぞれの思いで感じてほしい」と話す。

 脳梗塞(こうそく)で左片まひがある東京都西東京市の会社員フィリップ本橋さん(59)は、動き回りにくいことを逆手にとって、地元密着の写真を撮り続けている。「障害があっても障害に関係なく、いい写真が撮れることをアピールしたい」

 写真展は3人が独自の視点で瞬間をとらえた約100点を展示。会場を訪れた主婦(65)は6年前に夫が脳梗塞で倒れ、自宅で介護しているといい、「倒れても何かができるんだという力をもらえた」と話した。

 午前10時〜午後4時。横浜市港南区上大岡西の障害者スポーツ文化センターラポール上大岡8階で27日まで。21日は休館日。入場無料。問い合わせはラポール上大岡文化担当(045・840・2151)。(村上潤治)