韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が、野党の賛成多数で可決した法案への「拒否権」を頻発させている。21日にも就任以来10回目の拒否権を行使した。尹氏の政権運営が「独善的」と批判されるゆえんでもあり、野党は批判を強めている。

 21日に尹氏が拒否権を行使したのは、海兵隊員が殉職した事故の真相究明を政府が妨害した疑惑について、特別検察官を任命するための「特検法」案で、保守系与党・国民の力が退席する中で採決された。大統領府高官は「憲政史上、与野党の合意なしに特検法が強行処理されたことはない」などと拒否権発動の理由を説明した。

 就任以来、少数与党の状態が続いている尹氏による法案への拒否権の行使は、妻の金建希(キムゴニ)さんが株価操作に関与した疑惑を捜査する特検法など、計10回に及ぶ。1987年の民主化以降の歴代大統領で最多だという。