奈良県が防災拠点の整備を進めていくために設置した「防災拠点検討部会」の初会合が24日、県庁で開かれ、委員に選ばれた防災やエネルギー分野の専門家が議論を始めた。今後、山下真知事が打ち出した五條市での大規模太陽光発電施設(メガソーラー)の整備や、県立橿原公苑を中核的広域防災拠点に位置づける構想について、妥当性を検証していく。

 非常用電源としての活用を想定したメガソーラー構想は昨年度、2千メートル級滑走路を備えた「大規模広域防災拠点」の見直し案として提示された。だが、最大会派「自民党・無所属の会」が異を唱え、まずは有識者会議で検討し、五條市と橿原市を中心とした「総合防災体制基本構想」の策定を進めるべきだとして、3月の県議会で予算修正案を提案、成立させた。

 それらを受け、県は部会を設置。南海トラフ地震や奈良盆地東縁断層帯地震を想定した防災拠点の機能や規模、五條市の県有地や橿原公苑での整備内容について、専門家の議論を踏まえ、構想策定につなげる。

 委員は7人で、部会長には都市防災などを専門とする河田恵昭・関西大特別任命教授が就任。ほかに地震工学やエネルギー貯蔵・蓄電技術の専門家、航空輸送の分野として陸上自衛隊の元航空隊長もメンバーに入った。

 この日は県の構想に対する具体的評価には触れなかったものの、委員から「南海トラフは待ったなしの状態で、安全な蓄電池ができるまで待つのかどうか」「いつまでに拠点整備できるのかが非常に重要」などの論点が示された。山下知事も出席し、ヘリポートや空港の水害リスクについて委員に尋ねる場面もあった。

 部会終了後、河田氏は約25ヘクタールのメガソーラー構想について「想定の面積は大きいが、本当に必要なのかどうか。きっちり定量的に検討する必要がある」と話した。

 一方、山下知事は同日の定例会見で防災体制基本構想の策定時期は未定としたうえで、「県議会で何度も議論されてきたが、専門的見地から検証していただく役割を期待する」と話した。(阪田隼人)