西大和学園中学校(奈良県河合町)の生徒たちが集めた、シリアで地震や紛争の被害に遭った子どもたちへの支援物資が、現地に向けて旅立った。企業に直談判して集めた物資は400を超える段ボール箱に。生徒たちは「どんな立場にいる子どもにも、等しく笑顔になって欲しい」との思いで見送った。

 きっかけは昨年2月。トルコとシリアの国境付近で大地震が発生し、約6万人が亡くなった。ニュースをみて立ち上がったのは当時3年生の森孟子(もね)さん。同級生20人ほどとともに、企業に呼びかけて現地に支援品を送ることを決め、笑顔を届けたいとの願いを込めて、「M.P.S(Make People Smile)」という名の団体を立ち上げた。

 目指したのは、「現地の子どもたちが、自分たちと同じように夢を追いかけられる」ようになる支援。だからお金ではなく、文房具や服など、子どもが使える物資を調達することにした。

 英語も駆使しながら、国内外の企業約300社に連絡を取り、支援物資の提供をお願いした。初めはメールの文章もままならず「大人の担当者を出して欲しい」と言われることもあったが、やりとりを重ね、30社ほどが支援品を送ってくれた。

 そして昨年12月。雨天の中学校の運動場に集まった生徒たちは、10トントラックに物資を次々と詰め込み、満タンになったトラックは横浜港に向けて出発。生徒たちは「いってらっしゃい。シリアにちゃんと届いてね」と荷物を見送った。

 輸送は、シリアに特化した被災者支援キャンペーン「サダーカ・イニシアチブ」が仲介役となり、現地までの輸送ルートを手配した。ただ、昨年末には横浜港から発送される予定だったが、現地の情勢や輸送ルートの確保に難航したことなどから延期が続き、今年3月に出港した。アフリカ南端の喜望峰を回るルートをたどり、シリアには6月ごろに到着する予定だ。(仙道洸)