6月3日、2023年FIA F2第7戦のスプリントレース(決勝レース1)が、スペインのカタロニア・サーキットで開催され、メルセデス育成のフレデリック・ベスティ(プレマ・レーシング)が今季3勝目を飾った。レッドブル&ホンダ育成の岩佐歩夢(ダムス)は8位で1ポイント獲得となった。

 第7戦決勝レース1のグリッドは、2日に行われた予選トップ10のリバースグリッドで決定され、アムーリ・コルデール(インビクタ・ビルトゥジ・レーシング)がポールシッターとなった。

 2番グリッドにジャック・クロフォード(ハイテック・パルスエイト/レッドブル育成)、3番グリッドにドライバーズランキング首位のフレデリック・ベスティ(プレマ・レーシング/メルセデス育成)、4番グリッドにビクトール・マルタンス(ARTグランプリ/アルピーヌ育成)、5番グリッドにデニス・ハウガー(MPモータースポーツ/レッドブル育成)が続いた。

 なお、予選で5番手タイムをマークしたテオ・プルシェール(ARTグランプリ/ザウバー育成)は、予選でのハウガーに対する走路妨害により3グリッド降格のペナルティが下り9番手スタートに。代わって岩佐が6番グリッドからスタートを迎えることとなった。

 直前のF1のFP3より降りはじめた雨は止まず、ウエット宣言が出ることとなり、全車がウエットタイヤを装着。気温19.2度、路面温度22.3度、タイヤ交換義務のない26周(もしくは45分+1周)の決勝レース1は、現地時間14時15分(日本時間21時15分)からセーフティカー(SC)先導による1周のフォーメーションラップをへて、ローリングスタートを迎えた。

 ローリングスタートとなったことでターン1はコルデールがホールショットを守る。一方3番手のベスティがターン1でクロフォードにアウト側から仕掛けるも、2台は接触。クロフォードは失速し、オープニングラップを終えてピットに入りレースを終えることに。

 また、6番手スタートの岩佐だったが4番手争いのなか、ターン5でタイトル争いを繰り広げるプルシェールとわずかに接触。そのはずみで岩佐はコースオフを喫するもグラベルに捕まることは回避。ただポジションを10番手まで下げてしまう。

 2周目、ターン10で膨らんだコルデールをベスティが攻略。ここから視界がクリアなポジションを活かし、ファステストを更新しながら後続とのギャップを広げにかかる。また4番手スタートのマルタンスもコルデールを攻略し2番手に浮上するも、6周目時点でベスティとのギャップは3.2秒まで広がっていた。

 一方、岩佐は9番手で同じくレッドブル育成のエンツォ・フィッティパルディ(ロダン・カーリン)の0.6秒まで接近も、そこからなかなかオーバーテイクには至らず。そんな中、岩佐は「路面が渇いてきた」と無線を飛ばすと、岩佐は8周目のターン4でフィッティパルディを攻略、9番手に浮上する。

 プルシェールが10周目のターン12でドゥーハンを攻略し5番手に浮上する。また、フィッティパルディを攻略した岩佐は11周目には8番手のリチャード・フェルシュフォー(ファン・アメルスフォールト・レーシング)の背後に接近。セクター3では並走する場面もあったが、フェルシュフォーも簡単にはオーバーテイクの隙を与えない。

 12周目、ターン7〜8でコルデールがコースオフし6番手に後退。これで5番手ドゥーハンを先頭に、6番手コルデール、7番手オリバー・ベアマン(プレマ・レーシング/フェラーリ育成)、8番手フェルシュフォー、9番手岩佐が数珠繋ぎの隊列を形成する。

 レースも折り返しを越えた14周目、クッシュ・マイニ(カンポス・レーシング)が「もう少ししたらスリックを履けるかもしれない」と無線。チームもスリック(ソフト)を用意するがここでは更なる動きを見せない。

 17周目、14番手のマイニを筆頭に、ユアン・ダルバラ(MPモータースポーツ)、ゼイン・マロニー(ロダン・カーリン/レッドブル育成)がピットイン。3台ともスリック(ソフト)に交換するが、コールドタイヤかつ乾きかけの路面ではウエットに勝るペースには程遠い、しかし、19周目にダルバラがセクター2で全体ベストを更新。その周でウエットのベスティを3秒上回るペースに。

 これを見たプルシェール、フェルシュフォーが19周目にピットイン。偶然にもそのタイミングでファン・マヌエル・コレア(ファン・アメルスフォールト・レーシング)がコースオフを喫し、バーチャル・セーフティカー(VSC)導入となる。

 VSCがSCに切り替わるタイミングとなった20周目終わりにベスティ、マルタンス、ハウガー、ドゥーハン、コルデール、ベアマン、岩佐の上位勢も一斉にピットイン。なお、ダムスはダブルピットとなり、アーサー・ルクレール(ダムス/フェラーリ育成)はわずかにタイムロス。

 これでコース上全車がピットを終えた時点で、ベスティ、マルタンス、ハウガー、プルシェール、ドゥーハン、フェルシュフォー、ベアマン、コルデール、岩佐、フィッティパルディというトップ10に。

 レースはタイムレースとなるなか、24周目に再開を迎えた。ベスティがターン1でポジションを死守する一方、プルシェールがハウガー、マルタンスを一気に攻略し、24周目のターン5で2番手に浮上。またもランキングトップと2位のふたりが直接対決に。

 25周目、ベスティとプルシェールのギャップは1秒。しかし、ベスティはファステストを更新して26周目のファイナルラップに突入する。しかし状況は変わらず、ベスティが今季3勝目、FIA F2通算4勝目を飾った。

 2位にプルシェール、3位にマルタンスが続いた。岩佐は9位でチェッカーとなったが、8番手でチェッカーを受けたコルディールが5秒のタイムペナルティを受けたことで8位に浮上し、1ポイントを獲得している。

 岩佐はランキング3位から変わらず。しかし、ランキング首位のベスティ。ランキング2位のプルシェールとのポイント差は広がることとなった。

 続く、フィーチャーレース(決勝レース2)は6月4日の現地時間11時25分(日本時間18時25分)から、タイヤ交換義務を有する周回数37周で争われる。4番手からスタートを迎える岩佐の走りに、引き続き期待したい。

■2023年FIA F2第7戦バルセロナ
レース1暫定結果
Pos.No.DriverTeamTime/Gap17F.ベスティプレマ・レーシング47'22.79625T.プルシェールARTグランプリ1.10436V.マルタンスARTグランプリ4.62641D.ハウガーMPモータースポーツ5.184514J.ドゥーハンインビクタ・ビルトゥジ・レーシング5.661622R.フェルシュフォーファン・アメルスフォールト・レーシング7.02078O.ベアマンプレマ・レーシング7.486811岩佐歩夢ダムス9.864912A.ルクレールダムス10.215104E.フィッティパルディロダン・カーリン12.3871121C.ノバラックトライデント12.8211210I.ハジャルハイテック・パルスエイト13.9511320R.スタネトライデント14.3291415A.コルデールインビクタ・ビルトゥジ・レーシング14.657153Z.マロニーロダン・カーリン16.0561617B.ベナビデスPHMレーシング・バイ・チャロウズ16.9221725R.ボシュングカンポス・レーシング20.8321824K.マイニカンポス・レーシング60.844192J.ダルバラMPモータースポーツDNF2016R.ニッサニーPHMレーシング・バイ・チャロウズDNF-23J.コレアファン・アメルスフォールト・レーシングDNF-9J.クロフォードハイテック・パルスエイトDNF
・ファステストラップ:
テオ・プルシェール(ARTグランプリ)1分28秒422(26/26) 189.604km/h
・ペナルティ:
Car15 アムーリ・コルデール +5秒タイムペナルティ/トラックリミット違反