フェラーリF1のチーム代表であるフレデリック・バスールは、チームのパフォーマンス不振を弁明するにあたって、お馴染みのテーマである根強い“一貫性のなさ”を引き合いに出した。

 カルロス・サインツとシャルル・ルクレールは、F1第8戦スペインGPにおいてグリッドが大きく離れていた。サインツは土曜日の予選で2番手タイムを出すなど、シングルラップのペースを引き出すことができたが、チームメイトのルクレールは19番手と大きく離され、Q3に進出できないという屈辱を味わった。

 レースでは、サインツは確固たるレースウイナーのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に挑むことはおろか、トップ集団で持ちこたえることもできなかった。サインツはSF-23の慢性的な症状であるタイヤデグラデーションと戦っていたのだ。

 一方、ルクレールは予選で予測のつかないハンドリングに苦しめられたため、修正のために彼のマシンには新しいリヤエンドが付けられた。ルクレールはピレリのハードタイヤで骨の折れる第1スティントを終え、11位と振るわない順位でレースを終えた。

 バスールはレース後のメディアへのコメントのなかで、お馴染みの不満を並べた。

「レイアウト、ターマック、タイヤのエネルギーの点でマイアミとバルセロナを比較することはできないが、全体像は同じだ」とバスールは嘆いた。

「予選では速さがあったが、レースではそうはいかなかった。同じマシンでもコンパウンドの間で一貫性がないし、同じコンパウンドでも一貫性がない時がある」

 フェラーリの一貫性の欠如の謎を解決することは、マラネロにいるチームのエンジニアたちにとって最優先事項だ。

「現在この問題に1000人のスタッフが取り組んでいる。理解し修正するのは非常に難しい。なぜならいつも同じではないからだ」

「予選では前方が空いているのは事実だが、レースではそうではない。シャルルは第1スティントで大いに苦戦していたと思う。彼は前方のマシンに大分近づいていたからだ」

「我々にとっての主な問題は、(高速)コーナーでのラップのポテンシャルではなく、一貫性のなさだ。たとえばシャルルのマシンだが、第1スティントと第3スティントでは同じコンパウンド(ハードタイヤ)を使用していた。第1スティントではバランスが崩れたが、第3スティントでは問題がなかった。カルロスの場合は、第1スティントはまずまずだったが、中盤では15秒から20秒を失っていた」

 バルセロナにおけるフェラーリの精彩を欠いたパフォーマンスは、新しいサイドポッド/フロアパッケージがSF-23に実装されてから生じたことだ。バスールは、新しい要素がパフォーマンスの向上をもたらしたと示唆したが、そのパフォーマンスは、SF-23の改良版ボディワークに隠れている不安定な特質によって覆されてしまったという。

「ポテンシャルの面で我々は一歩前進した。少なくとも予選ペースでは、我々はカルロスをフロントロウに据えることができた。これはおそらく前進だろう。そしてレースではアストンマーティンに一歩近づいたと考えてもいいだろう」

「しかし予選からレースまで、今もメルセデスと大きなパフォーマンス差があるので、それだけでは十分ではない」

「我々はフェラーリが復調して日曜日に素晴らしいレースをし、ポイントを獲得できるように、すべての焦点を合わせなければならない」