メルセデスF1のジュニアドライバーであるイタリアの新鋭アンドレア・キミ・アントネッリは、2週間後にF1のパワーを初めて味わうことになる。メルセデスはレッドブルリンクでの2日間のテストで、2021年型マシン『W12』を彼に託す予定だ。

 このテストはかなり前から計画されており、アントネッリが来年すぐにF1に昇格する可能性に対する反応というわけではない。しかし、ルイス・ハミルトンがフェラーリに移籍するため、2025年のメルセデスのシートが空くことを考えると、アントネッリにとって初となるテストへの関心は以前よりも高まっている。

 各チームはいわゆるTPC(Testing of Previous Cars)ルールにより、テストで2年前のシャシーを使用することが認められているので、メルセデスはこのテストで2022年仕様のW13を採用できたはずだ。そうすればアントネッリは現在のシャシーレギュレーションがドライバーにとって何を意味するのか、より深く理解できるようになるだろう。しかし、W13はルイス・ハミルトンのようなドライバーにとってもドライビングが難しかったことが考慮され、物議を醸す状況のなかでハミルトンをタイトルに導くことはなかったものの、数多くのレースで優勝したW12というはるかに安定したシャシーをアントネッリに託すことが決まったのだ。

 アントネッリがテストに参加できるのは、FIA F2の第3戦メルボルンから第4戦イモラまでの長い休みの間だ。メルセデスF1のチーム代表を務めるトト・ウォルフは、若手の様子を見ることを熱望しているため、5月上旬におそらくはバルセロナで別の2日間のテストを組む時間があるかもしれない。それ以外にも、F2が1カ月の休みになる6月中旬と、第10戦スパ・フランコルシャンの数日後にハンガロリンクに戻って2日間のテストが実施される可能性が高い。

 F1が夏休みに入る頃には、F2の半分以上のラウンドが終わる。2025年にジョージ・ラッセルのチームメイトが誰になるのか、アントネッリはウォルフの決断を知ることになるだろう。2回目のF2シーズンを迎える場合、アントネッリはF1テストを再開するまでに数カ月待つことになる。

 もしウォルフがアントネッリはF1への準備ができていると判断し、メルセデスからF1に昇格するか、ウイリアムズに2年間貸し出されることが決まった場合は、F2の第12戦バクーと第13戦ロサイルの間でテストが強化されるだろう。なぜなら、第12戦と第13戦の間は10週間空いており、グランプリデビューに向けた準備のため、アントネッリが初めて2025年にレースをすることになるコースで、メルセデスはおよそ6回のテストセッションを容易に組めるからだ。