スーパーGT第2戦が行われている富士スピードウェイで決勝日の5月4日、スーパーGTのプロモーターであるGTアソシエイションの坂東正明代表が定例会見を行い、その中でGT500クラスの次期車両について、3メーカーとの話し合いの場を経ての現在の状況を明らかにした。

 昨年、2023年のスーパーGT開幕戦の岡山で次期車両の投入タイミングについて、2028〜2029年以降に導入予定、そしてトヨタ、ホンダ、ニッサンの国内参戦メーカーとともに、DTM(ドイツ・ツイーリングカー選手権)とも話し合ってGT500の次期車両を考えたい意向を示してた坂東代表。その後、DTM側とは欧州で話し合いの場があったようだが、具体的な進展や発表には至っていなかった。

 そして前回の開幕戦岡山では「2028年、2029年に次期車両を考えることになると、レギュレーションは2026年に決め、2027年にはテスト走行を行いたい。そのためには2025年中に方向性を定めていきたい」と言及していた坂東代表。その岡山で国内参戦メーカーが参加するステアリングコミッティ(経営陣が参加する運営委員会)が行われ、次期車両に関する具体的な話し合いが行われたことを富士の会見で明らかにした。

「ステアリングコミッティでのTNH(トヨタ、ニッサン、ホンダ)との話し合いでは、モーター/電気をどうするかということろが課題になっている。LMDh(出力50kwの共通のハイブリッドシステム)等の採用であったり、その製作を国産でできないかというところと、TNHでパーツを持ち寄ってコストを考えながら、各々の技術力、純正品を流用できるようなところでモーターの使用を考えられないかという議論をしています」と坂東代表。

「実際にはまだ方向性は定まっていません。来季、2025年から今と同じモノコックを全車15台、そして3メーカーの開発車両3台を含めた18台を新しく変えます。そのモノコックを2027年まで使用して、2028年には新しい車両を作って採用したいけれども、先日の会議の内容のところで方針が決まらない以上、2028年までは現行の規定で進めて、2029年に変えるというのは数字上の方向になります」とスケジュール感を明らかにした。

 GT500クラスの次期車両についてはスケジュールやコストに加え、2030年も音を出すレースの継続に向けて、環境や社会に向けてのスーパーGTの意思や姿勢も重要になる。

「今のところでは2028年は難しいという状況で、2029年に新しい車両を投入するとなると、2028年にはテスト、2027年にはあらかたの製品は揃って試験をしていないといけない。どの方針、方向性でGT500の新規車両を考えるか、今の日本の島国のインフラがどのような状況で電気や水素のあたりが動くのか」

「燃料のところ(カーボンニュートラル・フューエル/合成燃料)、タイヤのところ(年間使用セット数減少)はやりました。次世代に向けてそれに加えて、モーターというのも考えなければいけない。我々がどの役目で開発をして、この島国のインフラに影響を与えることができるのかを考えながら、次世代の車両を作る。今の社会の状況下ではまだ結論的なものは出ていないというのが現状です」と坂東代表は会見で話した。

 GT500次期車両はハイブリッドとなる可能性が高そうな気配だが、関係者の話によると、当初進めていたDTM側との話し合いは欧州社会がEVシフトに移っていたため、ドイツメーカーと国内メーカーの方針が今の段階では異なっていることが確認されたという。それでも、今年に入ってから欧州のEV戦略も曲がり角を迎え、帰路に立たされていることから、国内外の社会情勢を鑑みて、次期GT500車両については柔軟に考えていく方向のようだ。