キャンプから順調に調整を進め、シーズンを迎える平良

 自ら直訴した先発転向だっただけに昨季に懸ける平良海馬の意気込みは並々ならぬものがあった。開幕前こそ短期間での適応を不安視する声も聞かれたが、開幕から先発ローテーションの一角を守り23試合に登板。高橋光成に次ぐチーム2位の150回を投げ、自身最大の目標に掲げた「規定投球回」をクリアした。その中で記録したリーグ2位タイの11勝、同4位の防御率2.40の成績に、「個人的には100点」と納得の表情を浮かべた。

 転向1年目で複数の項目でリーグ上位の成績を記録した以上、先発2年目の今季はもちろん「タイトル奪取」が視野に入る。本人も「欲しいのは最多奪三振」とターゲットまではっきりと口にしている。昨季の平良の奪三振数153はリーグ3位の数字。トップの山本由伸(当時オリックス、現ドジャース)がメジャー移籍しているだけに、現実味は十分だ。

 もともと中継ぎのころから平良の三振へのこだわりは人一倍強かった。セットアッパーに定着した2020年以降、昨季まで4年連続で奪三振数はイニング数を上回っている。三振は、ほかの選手がプレーに関与せず、投手と捕手だけで完結してアウトを取れる唯一の手段とあり、投手の能力を示す一番の指標とも言われている。その上、チームにとっても「ボールが前に飛ばないので、リスクが少ない」と言い、平良が最も望むチームへの貢献度の高さの視点からいっても、奪三振王を目指す価値は大いにあると言えよう。

 さらに、昨季の課題から、対左打者への空振り率を高めるべく、今井のスライダーを手本に“ジャイロスライダー”を習得。新たな武器とともに三振の山を築いていく。

写真=BBM