低迷の原因は貧打



中日の若き四番・石川昂。ミスもあるが今は経験を積んでいくしかない

 中日が最下位低迷と苦しい戦いが続いている。春先から借金生活が続き、波に乗れない。5月5日から本拠地・バンテリンドームで迎え撃った巨人戦で同一3連勝を飾ったが、その直後の広島戦で同一カード3連敗。続くヤクルト戦(岐阜、バンテリン)もカード負け越し、16日からの阪神戦(豊橋、バンテリン)も同一カード3連敗を喫し、借金は今季ワーストの12にふくらんだ。

 低迷の原因は貧打に尽きる。38試合終了時点で101得点はリーグワースト。1試合平均2.65得点では白星を積み重ねるのが厳しい。助っ人外国人がまったく機能していないことも響いている。四番候補として獲得したアリスティデス・アキーノは20試合出場で打率.154、1本塁打、6打点。外野の守備でもミスが目立ち、5月1日に登録抹消された。内野ならどこでも守れるユーテリティープレーヤーのオルランド・カリステも打力不足は否めず、14試合出場で打率.139、0本塁打、1打点。3年ぶりに古巣に復帰し、現在助っ人外国人の野手で唯一一軍に帯同しているソイロ・アルモンテも27試合出場で打率.192、1本塁打、2打点。満足のいく働きぶりからはほど遠い。

 新外国人選手は、日本で活躍する計算が立つとは言えない。最も大きな誤算が来日8年目のダヤン・ビシエドだろう。今季は15試合出場で打率.236、0本塁打、0打点。4月12日に再調整を命じられると、5月2日に一軍昇格したが打撃内容は良くなかったことからわずか8日後にファーム降格となった。

「ホームランを打てる打者が少ない」


 立浪監督は3年契約の2年目。開幕前に週刊ベースボールのインタビューで、以下のように語っていた。

「昨年は歯がゆいシーズンでした。本当にここ1本が出なかった。確かに打者が不利な球場(バンテリン)ではあるんですけど、それにしても打てなかった。ホームランが少ないと言われますけど、そもそもホームランを打てる打者が少ないわけですから、そこは仕方のない部分でもあるんですけど、であればもう少し貪欲に、しぶとく1点を取りにいく攻撃をしていかなければならない。得点圏打率でも他球団と比べて圧倒的に低かったわけですから」

「そういう意味でも今季から和田(和田一浩打撃コーチ)が入ったので、技術的な部分を含めて、どんどん変えていかないと。すぐに打てるようになるとは思いませんけど、春季キャンプからミーティングを含め、しっかりと指導していますから当然、期待しています。速い真っすぐを狙っているのに、それを打ち返せないようでは何も始まらない。そうなるとそこばかりを意識させられて、今度は変化球まで打てなくなってきますし、実際その繰り返しでしたから」

若手が一本立ちしたときに


 チームの変革は一朝一夕でなし得ない。他球団のスコアラーは、「中日は伸び盛りの若手が多い。今は低迷しているけど、彼らが一本立ちしたときに強くなると思いますよ」と分析する。

 侍ジャパンでWBCの世界一に貢献した高橋宏斗、昨年最多安打のタイトルを獲得した岡林勇希、DeNAから現役ドラフトで移籍してクリーンアップで活躍している細川成也、若き四番・石川昂弥、1年目から二塁、三塁のレギュラーで活躍しているドラフト7位の福永裕基、ミート能力に定評があるドラフト2位の村松開人、遊撃のレギュラー奪取を狙う龍空、高卒新人捕手の山浅龍之介、ファームにもブライト健太、非凡な野球センスで開幕一軍は確実と見られたが、右肩の手術でリハビリ中のドラフト6位・田中幹也と好素材が多くいる。

 悔しい敗戦を、未来の糧に出来るか。セ・リーグを盛り上げるためにも意地を見せてほしい。

写真=BBM