未だ頂点に君臨するNBAの王様が、引退をほのめかすコメントを残した。

 レブロン・ジェームズは39歳にしてなお、圧倒的な成績を残している。4月1日(現地時間3月31日)に開催されたブルックリン・ネッツ戦では、アウトサイドショットを10本中9本成功の高精度で成功させ、トータル40得点を記録。また、4月3日(同2日)のトロント・ラプターズ戦でも23得点をマークした。

 常識を凌駕するこの男は、21シーズン目にもかかわらず、今なお“成長”しているのだ。今シーズンの3ポイント成功率41.6パーセントは、キャリアハイの成績。その他のスタッツでもフィールドゴール成功率がキャリア歴代5位、アシスト数が6位となっており、現在の平均スタッツは25.4得点、7.3リバウンド、8.1アシストとなっている。

 ビンス・カーターやダーク・ノビツキーなど、NBAに長期間在籍した選手は数名頭をよぎるが、キャリア晩年にもかかわらず選手の質として高水準をキープし、20年連続でオールスターゲームに出場しているプレーヤーは、歴史を振り返ってもレブロン・ジェームズただ1人である。

 誰もがこの伝説が永遠に続くことを願っていることだろう。だが、プロスポーツ選手のキャリアには、いつか必ず終わりがやってくるのだ。キングはネッツ戦後、自身の引退が遠くないことをほのめかした。『ClutchPoints』のエリック・スレート記者が、同選手の声を伝えている。

「あと何年かと言われると、長くはない。俺は明らかにピークをすぎている。あと21年はプレーできない。最高のショーだけど、それほど長くはない。いつドアが閉まり、引退するかは分からないけれど、俺に残された時間はそう多くはない」

 レブロンがこれだけ高いレベルを維持できる理由のひとつには、圧倒的なコンディション管理がある。4度のNBAチャンピオンは、身体のケアに年間1億5000万円以上も投資していると言われており、この徹底した管理によって現在の地位を築いた。しかし、そんな彼もフィジカル面のプレッシャーを感じ始めている。JJ・レディックのPodcastに出演したレブロンは、激闘の末に帰宅した際の妻との1コマを明かしてくれた。

「この前、妻に説明した。試合後に帰宅してきた際にどんな気分か尋ねられたんだ。妻には『想像してみてくれ。2003年式のエスカレードを購入して、それが2024年なのに一度もタイヤを交換してないことを』と返したよ。だから、脚を揉んでもらうようにお願いをした」

 キングは、自身を21年間、一度もタイヤを変えることなく走り続けたクルマに例えた。もし本当のクルマであれば、下取り価格はお世辞にも潤沢とは言えないはず。レブロンはそれだけ、自身のプロ生活に限界を感じているのだ。

 レブロンは来シーズン、5140万ドル(約78億円)のプレーヤーオプションとなり、行使すれば2024−25シーズンが現行契約のラストイヤーとなる。

 息子との共演も熱望しているキング。王の進退は彼のみぞ知る。

文=Meiji

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