7日、東京都・浅草花劇場にて怪獣プロレス『浅草怪獣 FANTASTIC ROAR』が開催された。

 『怪獣プロレス』とは、バークリー音楽大学卒というプロレス界では異色の経歴を持つ雷神矢口(矢口壹琅)が今は亡き盟友・ハヤブサさんとともに昔から構想を練っていたというエンターテインメント団体。

 矢口みずからが代表取締役に就任し、同社の取締役には元新日本プロレス・チーフレフェリーのミスター高橋(高橋輝男)、怪獣研究家UMA研究家の山口敏太郎、サッカーJ3ヴァンラーレ八戸取締役や銚子電鉄相談役、ITサービス事業の経営者などを兼任する田代貢一郎という錚々たる顔ぶれが名を連ね、成田亨の唯一の弟子として世界的に有名な怪獣造形作家・赤松和光(株式会社マーミット代表)がキャラクターデザインに加わっている。

 また、出演俳優も豪華そのもの。
 仮面ライダー2号(一文字隼人)役として知られる佐々木剛、ウルトラシリーズや『超人バロム・1』の白鳥健太郎役として知られる高野浩幸、ウルトラシリーズや数多の戦隊モノに出演している萩原佐代子など、特撮界隈のレジェンド俳優たちが数多く出演している。

 時空怪獣、宇宙怪獣、地球怪獣、バイオモンスター、UMAなどが大暴れする怪獣プロレスのリングにおいて、一際存在感を放つのがヒバゴンとバイオモンスター・キラーゴロゴだ。

 ヒバゴンは、1970年に広島県庄原市西城町の比婆山の麓で目撃情報が相次いだ謎の猿人類。比婆山で矢口を襲撃して怪獣プロレスに乗り込んできたことから因縁が続いている。
 キラーゴロゴは、矢口に恨みを持つバイオモンスター。かつて矢口が取り仕切っていたという某メジャープロレス団体の新人レスラーであった花房五郎は矢口にクビを宣告されたことで心を壊して廃人に。父である地獄博士が五郎の細胞核からパワーを増大させ、矢口に復習するためだけに生み出したアバターだ。

 この日のメインイベントでは、雷神矢口vsバイオモンスター・キラーゴロゴのシングルマッチが実施。
 怨嗟に囚われ暴力の化身なったキラーゴロゴに対し、矢口は正統派のプロレスを以てキラーゴロゴのプロレスへの愛を取り戻そうとする。
 しかし、アバターたるキラーゴロゴを操作するだけでは我慢できなくなった五郎本人もリングに飛び込んできてキラーゴロゴとともに矢口を袋叩きにしてしまう。


 そんな中、ライバルの窮地を見ていられなくなったヒバゴンが矢口を救出し、まさかの共闘が実現。
 矢口&ヒバゴンはゴロゴ&五郎をあと一歩のところまで追い込んでいくが、ヒバゴンは自身が苦手とする水をぶっかけられたことで急速に弱体化して戦闘不能に。最強のUMAの助太刀を失った矢口は再び袋叩きにあい、五郎のギロチンドロップを受けて3カウントを聞いた。

 試合を終えた矢口は、「もっともっと生きたかった友がいる。だから、俺は地べたに這いつくばってても、泥水を飲んででも、この世を生き抜かなきゃいけないんだよ!この世を生きて生きて生き抜いて、ここにいる応援してくれるみんなに、そして世界中の人たちに笑顔を愛を伝えないといけない。みんながもっともっと笑顔になってほしい!そのために俺は、なにがなんでも、どんなことをしてでも生き抜いてやる!生きるぞォーーッッ!!」と、亡き盟友たるハヤブサさん、吉江豊さんへの思いを絶叫。
 その後には、怪獣プロレスのレギュラーであった宇宙怪獣キングマンドラの“中の人”を務めていた吉江さんへの追悼セレモニーも行われた。

 大会後、矢口は「俺と吉江くんはアニマル浜口ジム出身で。今回、アニマル浜口ジムがある浅草でやるってことで吉江さんも楽しみにしてたんですよ。吉江さんも、この怪獣プロレスを旗揚げするときに構想を一緒に話して練ってたハヤブサもこの会場に来てくれていたと思います。ホントに悲しいんだけど、俺たちは今を思い切り生きて、今周りで楽しみにしてくれている人たちを笑顔にしていくことが使命だと思います」と語った。

 怪獣プロレスは回を追うごとに人気が増しており、今大会は大会2週間前にチケットが完売して札止めに。
 矢口の理想に共鳴する協力者も続々と増えており、“アメリカの超一流メジャー団体を凌駕するアイディア”を実現させて世界に打って出る野望があるという。

 音楽、演劇、特撮、プロレスなどの様々なエンターテイメントが融合した怪獣プロレスの名が世界に轟く日はそう遠くないかも知れない。