フリマアプリ「メルカリ」でフィギュアを購入したところ、フィギュアを入れる箱しか届けられず、泣き寝入りを強いられるケースが発生している。購入者が改めて出品情報ページを確認すると、画像にはフィギュアとそれを入れる箱が映っていたが、「商品の説明」欄には「箱のみ」と記載されており、購入者がメルカリ事務局に問い合わせたところ「出品情報に『箱のみ』と記載があるため、現時点では迷惑行為に該当する内容であると判断できません」との回答が寄せられたという。

 昨年7月にサービス開始10周年を迎えたメルカリ。月間利用者数は2200万人を超え、いまや日本人にとって重要なインフラとなった感もある。そんなメルカリだが、商品購入にまつわるトラブルは多い。不良品や、出品情報ページの画像や説明文と異なる商品、商品情報には記載されていない汚れや傷がある商品、偽ブランド品などが届くケースのほか、以下のようなトラブルが起きている。

・商品が届かない
・購入後に出品者から値上げを要求される
・出品者と価格交渉を行って専用出品してもらった商品を第三者に購入される、つまり横取りされる
・商品購入後に出品者からキャンセル申請がくる
・合意した発送方法と別の方法への変更を要求される
・商品の到着前に出品者から受取評価を要求される

 一方、出品者側が被るトラブルとしては、購入者から、受け取り済のブランド品を返却したいと要求され応じたところ、偽物が送られてきたという事例もみられる。

購入者と出品者の協議が原則

 こうしたトラブルにあった場合、どのように対処すべきか。メルカリのヘルプセンターによれば、出品者から商品が届いた時点で「商品説明に不十分な点がある」「商品の状態がわかる画像を掲載しない」「実際に発送する商品ではない画像を利用している」ことが判明した場合は、出品者に対し着払いで返品後、取引をキャンセルすることができる。この3つに該当しない問題を認識した場合は、まず出品者に連絡し、商品説明と商品状態の相違点、要望などを伝え、合意の上で以下の対応を行う。

・受取評価を行い、取引を完了する
・出品者から「販売利益の一部」を返金してもらい取引を完了する(商品の返品は行わない)
・商品を出品者へ返品し、取引をキャンセルする

 出品者との間で合意に至らない場合や、出品者に連絡してから24時間経過後も返信がない場合は事務局へ問い合わせ、事務局にて商品状態の確認を行うことになる。また、届いた商品が偽物・非正規品の可能性があると考えられる場合も、基本的には流れは同じで、まずは出品者に対し偽物・非正規品であると判断した根拠と要望を取引メッセージで出品者に連絡する。

 このほか、商品が配送中に破損して届いた場合は、メルカリ便の場合は、まず購入者は到着した商品の状態を出品者へ伝え、さらに出品者から梱包・発送時の状況を入手し、事務局へ商品状態の情報や商品の画像などを送付。それをもとに事務局から配送会社へ調査依頼を行う。また、メルカリ便を利用していない場合は、各配送業者に問い合わせることになる。

 ちなみに、上記のいずれのケースでも、購入者が受取評価および評価を行い取引が完了してしまうと、事務局によるサポートを受けることが困難になるため、商品の内容・状況を確認するまでは受取評価および評価をしないことが重要だ。

フリマアプリのリスク

 今回のフィギュアの「箱のみ」が送られてきたという事例。被害にあった人のX(旧Twitter)への投稿によれば、出品情報ページの画像にはフィギュアと箱が映っていたが「商品の説明」欄には「箱のみ」と記載されており、それに気がつかずに購入。前述のとおりメルカリ事務局に問い合わせたものの、出品者による迷惑行為には該当しないと伝えられ、泣き寝入りを強いられそうな状況だという。

 メルカリ利用規約の「第9条 商品の出品」では「出品者は、出品する商品と関係のない画像等を当該出品情報として掲載してはいけません」と定めており、出品に関して規約違反が認められた場合は、メルカリ運営元が当該出品への購入行為を取り消すことができるとしている。ECに詳しいIT業界関係者はいう。

「出品者に悪意があるのは明らかだが、画像は商品と無関係とはいえず、さらに商品説明欄に『箱のみ』と記述されているので、『<このフィギュアを入れるための箱ですよ>という旨を説明するためにフィギュアも一緒に映った画像を使っていた』という理屈がギリギリ成立してしまう。なので残念ながら購入者の方は泣き寝入りするしかないだろう。

 メルカリはフリマという個人間の売買のプラットフォームを提供するという立場なので、取引によって生じたトラブルは当事者間で話し合って解決してくださいというのが基本的なスタンス。プラットフォーマーの責任として明らかに違反行為を行うユーザは排除するものの、今回のように規約違反かどうかグレーな事案については介入しないので、ユーザには『気を抜くと損をするかもしれない』というリスク意識が求められる。従来よりフリマというのは『安いけど、その代わりに、買って実際に使ってみたら難があったいうオチも一定程度想定される』ということが織り込み済みの売買形態ともいえ、その本質はアプリになっても変わらないという認識を持つべき」

(文=Business Journal編集部)