4月5日午後9時放送の「 金曜ロードショー 」(日本テレビ系)で、新海誠監督最新作『 すずめの戸締まり 』が地上波初放送!

作品に登場する「椅子」にまつわる、作中では語られないエピソードを紹介します。

※この記事は映画『すずめの戸締まり』のストーリー終盤に関するネタバレを含みます。

『すずめの戸締まり』劇場公開時の入場者プレゼントだった小冊子「新海誠本2」(安藤健二撮影)

『すずめの戸締まり』とは?

金曜ロードショーの作品紹介によると、主人公は九州の静かな町に暮らす17歳の女子高校生、岩戸鈴芽(いわと・すずめ)。ある日、「閉じ師」を名乗る不思議な青年・宗像草太(むなかた・そうた)と出会い、災いの元となる「扉」を閉めていくために、日本各地の廃墟を巡る旅に出る……という内容の長編アニメ作品です。


鈴芽の声は原菜乃華(はら・なのか)さん、草太の声は松村北斗(まつむら・ほくと)さんが演じています。この男女二人が出会って、日本中を旅するロードムービーのような構成が印象的です。

「椅子が三本脚」の理由。新海監督が松村北斗さんの質問に答えていた

宗像草太が変身させられ、鈴芽とともに旅をする「椅子」。鈴芽が幼い頃から持っている「椅子」はなぜか最後まで一本欠けた三本脚のまま。

そんな鈴芽の椅子はなぜ三本脚のままだったのでしょうか?

劇場公開時に入場者プレゼントとして配布された小冊子『新海誠本2』の中で、宗像草太を演じた松村さんの「椅子が三本脚なのは何かの喩えになっているんですか?」という質問に答える形で理由を語っています。

「欠けたままの心であっても生きていけるんだっていう映画にしたかったんです」

🗣️「『なぜ、脚が三本しかないの……?』とたずねる草太に、鈴芽は椅子を一度失くしていて『見つけたときには欠けちゃってたの』って言いますよね」

🗣️「本人はよく覚えてはいないけれど、家が津波で流されたときに、脚が一本欠けてしまったんです。だから脚が三本なのは震災の傷の象徴であり、お母さんが亡くなってしまったという鈴芽の心の傷の象徴でもある」

🗣️「その三本脚の椅子をずっと抱えたまま旅をしていくわけですが、三本脚であっても椅子になった草太は立つことができる。走ることができて、鈴芽がその上に座ることもできて。鈴芽自身もそうですが、欠けたままの心であっても生きていけるんだっていう映画にしたかったんです」

「ずいぶん悩んだ」鈴芽が“鈴芽”に椅子を渡す際のセリフ

映画の終盤に、鈴芽が小すずめ(幼少期の自分)に椅子を渡す印象的なシーンがあります。

そこで鈴芽が何というかは「ずいぶん悩んだ」と新海監督は振り返りました。 

🗣️「初期の段階では、小すずめが『お母さんにもらった椅子なのに脚が一本欠けちゃってる。これじゃ座れないよ』と泣いてしまって、それに対して鈴芽が『三本脚でもきっと立てる』みたいなことを言って渡す、という流れも考えていたんです。『あなたは何かが欠けてしまっているかもしれないけれど、きっと立てるよ』と」

🗣️「でも、ちょっと難しくなりすぎるかなと思って『お姉ちゃん――だれ?』と小すずめに効かれた鈴芽が『私はね、……明日の鈴芽!』と答える、もっとグッとシンプルな形にしました」

鈴芽役の原菜乃華さん「私も気になっていた」。真相を知って驚く

新海監督の話を聞いた松村さんは「今の話は、できるだけ多くの観客にぜひ共有していただきたいです」と感銘を受けた模様。

鈴芽役の原菜乃華さんも「私も気になっていたので、そういうことだったんだって分かって驚きました」と真相を知ってびっくりした様子でした。

脚の欠けた椅子と鈴芽の境遇が重なっているとは……。

松村さんのいうとおり、『すずめの戸締まり』を見る際にはぜひ知っておきたかった裏話ですね。