ペットフードのパッケージに「肉副産物」「ミートミール」「肉骨粉」などと書いてあると「よくないもの」「粗悪品」と思って購入をためらっていませんか?ヒューマングレードと書いたペットフードでなくてはダメと思っていないでしょうか?

実は肉副産物・ミートミール・肉骨粉などは決して悪いものではありません。

今回は、肉副産物・ミールミート・肉骨粉は安全なのか、ヒューマングレードのペットフードとは何かについて解説します。

肉副産物、ミートミール、肉骨粉とは

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肉副産物、ミートミール、肉骨粉とはどのようなものでしょうか?詳しく説明していきます。

1. 肉副産物

肉副産物とは、家畜の肝臓や脾臓、腎臓、肺、胃腸、骨、脂肪組織などのことです。

「副」という文字のせいか「肉ではない体によくないもの、食べられないもの」といった印象を受けるかもしれません。しかし、肉副産物の部位はビタミンやミネラルが豊富で栄養価が高く、むしろ犬や猫にとって重要な栄養素を得られます

野生時代の犬や猫たちが獲物の内臓まで食べていたことを考えれば、副産物を食べるのは理にかなっているといえるでしょう。

2. ミートミールとは

「ミートミール」とは、血液や被毛、ひづめ、角、反すう動物の胃内容物、フン尿を「除去した」動物組織を加圧、加熱処理して粉状にしたものです。そのため、ミートミールには毛皮やひづめはもちろんフン尿など排泄物は混在していません。ペットたちにとって、高タンパクで有用な原料だといえます。

原料になる動物は、牛・豚・ヤギ・羊などの家畜です。家畜以外の動物が混ざらないように厳重な管理下で製造しています。

「家禽ミール」は鶏や七面鳥など家禽を乾燥処理した原材料です。また、魚介類を原料にした「魚粉」もあり、製造工場では魚粉以外の動物性たんぱく質は使用できません。

3. 肉骨粉(ミートボーンミール)とは

ミートミールに骨を加えて粉状にしたもので、タンパク質に加えてカルシウムなども豊富に含みます

肉骨粉と聞くと、BSE(牛海綿状脳症)が心配になるかもしれませんが、BSE(牛海綿状脳症)汚染国の牛由来の肉骨粉は使用することはありません。現在は、原料とともに収集先、製造方法、輸送についても国が厳重に規制を行っています。

粉状にするメリット

加熱処理後に粉状にすることで、栄養が凝縮されており原材料に均一にまぜやすいといったメリットがあります。そもそも水分が含まれないので腐敗などのリスクが低く、流通もしやすい点もメリットです。

肉副産物・ミールミート・肉骨粉について心配は不要

肉副産物・ミールミート・肉骨粉の原料は、人間の食用である家畜を利用すると定められています。つまり、豚肉ならモモ肉やバラ肉などは人間用とし、内臓肉などはペット用にします。

病気で死んだ家畜や交通事故に遭った野生動物などの肉が原料として混入することはありえないため心配は無用です。日本には、愛がん動物用飼料(ペットフード)の安全性の確保に関する法律「ペットフード安全法」によって製造方法や成分規格が定められ、市販のペットフードの安全が確保されています。

ペットフードの原材料|一般社団法人ペットフード協会 (petfood.or.jp)

問題のあるペットフードは流通されない

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市販のペットフードは、規格や基準を満たし製造または輸入されたものです。もちろん誰でも気軽にペットフードを作ったり輸入したりできるものではありません。法人、個人を問わず、事前に各都道府県の農林水産省地方農政局に届け出をする必要があります。

ペットフードがペットフード安全法に則って作られているかどうか、国と独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC)が製品の品質チェックの抜き打ち検査を行っています。もしも問題のあるペットフードが見つかった場合は、回収・廃棄の命令が下されます。

人とペットで食べる部位を取り合い?

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ペットフードは、肉副産物である内臓肉や魚の血合い肉など人間があまり食べない部位を原材料にしてきました。例えば、魚の血合い肉は見た目が悪く人間用には加工されていませんが、猫には適していたため猫用フードに利用されていました。人とペットは家畜や魚をシェアしていたため、ペットフードの価格も抑えられていたといえます。

しかし、最近は飼い主さんのニーズも高まっていることから、人間が食べる部位を原料にした「ヒューマングレード」のペットフードが増えています。今では人とペットが原料について競合するようになっているということです。

家畜や魚などは、人間にとってもペットにとっても大変貴重な資源です。将来どのように食べていくのか考えていかなければいけません。

ペットフードの原材料|一般社団法人ペットフード協会 (petfood.or.jp)

まとめ

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ペットフードの原料である、肉副産物・ミールミート・肉骨粉に対してネガティブなイメージを持っている方も多いかもしれません。しかし実際は、家畜の肝臓や脾臓、腎臓、肺、胃腸、骨、脂肪組織などを加工したもので決して体に悪いものではありません。

むしろ、栄養価が高くペットにとっては有用な原料であり、加工しやすいといった利点もあります。ペットフードの原料は、ペットフード安全法によって管理されているので心配する必要はありません。

これまでは、内臓肉などをペットたちが食べ、モモ肉などは人間が食べて畜産物をシェアしていました。近年は、本来は人間が食べる部位もペットフードになっています。貴重な資源である家畜や魚介類を、今後人間とペットでどう食べていくか考える必要があるでしょう。