将棋の藤井聡太名人(21)=竜王・王位・叡王・王座・棋王・王将・棋聖との八冠=に豊島将之九段(33)が挑戦する第82期名人戦7番勝負第1局2日目は11日、東京都文京区のホテル椿山荘東京で指され、先手の藤井名人が141手で豊島九段を下し、初防衛に白星スタートを切った。

 2日目の再開となった午前9時から12時間以上、午後9時22分に迎えた終局。「想定していない形になって、一手一手難しいかなと思って指していた」。挑戦者・豊島九段が用意した作戦に1日目から苦心したことを正直に明かした。実際にAIの形勢判断でも不利の時間が長かった。それでも終盤に「桂を跳ねられて、攻めの形ができた」。それまで使えなかった右側の桂馬を使える形を見つけると、一気に攻め込んで詰みの形に持ち込んだ。これで藤井名人はタイトル戦の対局を16連勝とし、故大山康晴十五世名人の持つ最多連勝記録にあと1と迫った。

 愛知県瀬戸市出身の藤井名人と同一宮市出身の豊島九段という愛知県対決。タイトル戦では5度目の顔合わせで過去は藤井名人が奪取2度、防御2度を記録している。これで公式戦の対局成績は藤井名人の23勝11敗。プロ入り当初は藤井名人が6連敗したが、現在は10連勝とした。

 前期に初奪取した藤井名人が本棋戦を制すれば初防衛、豊島九段が奪取に成功すれば77期以来5期ぶり2期目の名人位となる。第2局は23、24日に千葉県成田市の成田山新勝寺で行われる。