選手、コーチとして昨季まで28年間中日ドラゴンズに在籍した荒木雅博さん(46)が、今春から高校野球の強豪・中京大中京(愛知)の臨時コーチに就任した。4月1日付で、すでに週2日のペースで指導している。二塁手として6度のゴールデングラブ賞、通算2045安打を放った名球会会員でもある荒木さんが、持てる技術や知識を惜しみなく伝えていくつもりだ。

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 竜のユニホームを脱いで初めて迎えたシーズンに、新たな挑戦をする。2018年に引退した荒木さんは、その後も内野守備走塁コーチとしてチームを支え、昨季限りで退団した。今年に入って学生野球資格を回復し、初めてアマチュア野球の指導に関わる。

 「どうやって野球がうまくなるか一緒に探していくことは、プロもアマチュアも同じ。高校の2年3カ月と限られた時間で、大学や社会人になってもすんなりと入れるような土台づくりをしていきたい」と抱負を語った。

 中京大中京のコーチ就任は、知人の紹介がきっかけ。中京商の校名だった1966年に春夏連覇を果たした元監督の故杉浦藤文さんの息子、杉浦弘文さんが荒木さんを紹介した。高橋源一郎監督(44)は「はじめはびっくりしたが、選手も喜んでいてありがたい限り。子どもの考えを聞き出して丁寧に指導してもらっている」と感謝する。

 打撃練習を中心に行った15日は、5回目の指導日。「バッティングにこだわりはある?」など、必ず選手のやり方や考えを聞き出してから指導を始める。「野球がうまくなりたいという気持ちを強く感じる。よく質問もしてくれて、僕も楽しいです」と荒木さん。中日コーチ時代と変わらず、選手とのコミュニケーションを大切にして一人一人の良さを伸ばしていく。