ドジャース・大谷翔平の通訳だった水原一平容疑者は12日(日本時間13日)、銀行詐欺容疑でロサンゼルスの連邦地裁に出廷。保釈金2万5000ドル(約385万円)で保釈が認められた。米連邦検察の告訴状によれば、違法スポーツ賭博で約4100万ドル(約63億1000万円円)の負けを抱え、大谷の銀行口座から少なくとも1600万ドル(約24億6000万円)をブックメーカーに不正送金した。

 米ジ・アスレチックは17日、ギャンブラーの約6%が深刻な問題を抱えていると紹介し、水原容疑者がギャンブル依存症の典型的な傾向にぴったりと当てはまっていると報じた。

 米ギャンブル問題評議会のキース・ホワイト専務理事は「特にオンラインで新しくギャンブルを始めた男性は、専門用語で『望遠鏡効果』と呼ぶが、信じられないほど短期間でのめり込む」と指摘した。

 水原容疑者も違法ブックメーカーを介した賭けを始めてから1カ月後、約3万ドル(約460万円)の負け分を送金。その2週間後は、大谷の口座から初めて4万10ドル(約616万円)を盗んで送金し、スタートからわずか6週間で1000万円超のマイナスとなっている。

 また、「負けを取り戻すためにもっと大きな金額を賭ける」のもギャンブル依存症の傾向だという。同サイトは「確かに理論上、それは手っ取り早く挽回するための方法だ。だが実際には、さらに深い穴にはまる最低の方法なのだ。負けを取り戻そうとするには、さらなる大金か信用貸しが必要だが、水原にはその両方があった。大谷の口座から金を盗む一方、水原は何度もブックメーカーに信用貸しの枠を拡大するよう頼み込んでいる」とした。

 水原容疑者は直近2年間で平均1万2800ドル(約197万円)の賭けを1日平均25回も行っていたという。にわかには信じ難い頻度と金額だが、同専務理事は「ギャンブルをやめられない人間は、とんとんの収支に満足などしない。彼らが求めるのはスリルだ。そして他の依存症と同様、ギャンブラーにも『耐性』がついてくる。だから、もっと大きな金額を賭けるようになる。ギャンブル依存症の人間に『もう、おなかいっぱい』となるような金額は存在しない。金額は永遠に膨れ上がり続ける」と警告した。

 また、水原容疑者と同じく違法ブックメーカーを利用していたという元ギャンブル依存症の男性は「どんなに負けていても、次のゲームに賭ければ『新しい流れの始まりだ』と、ポジティブ思考に戻れるんだ」と振り返った。