日本高野連は18日、今年から採用している新基準の金属製バットに、安全性を示すSGマークに不適合の「違反バット」が含まれていたことを発表した。同日、各都道府県連盟に19日付で公式戦、練習試合および練習などでその使用を禁止する旨を通知。今後、加盟校が混乱しないよう速やかに対応するとしている。

 製品安全協会によると1週間前に情報提供があって検査をしたところ、SG基準に適合しないバットが判明した。新基準は、最大直径が67ミリから64ミリと3ミリ細くなり、また打球部の圧縮を1ミリ変位させるときの力を6000N(ニュートン)以上と定め、反発性能規定に適合するのは結果的に肉厚4ミリ程度が求められるとしている。投手や野手の安全性を高めるために、従来の金属製バットよりも打球速度が遅くなり、飛距離も落ちる。

 今春センバツでフェンス越えの本塁打は2本しか出なかったが、その新基準が守られていなかったバットも混在していたことが判明。6000Nの基準が5300Nから5500Nしかなく、肉厚が3・5から3・6ミリだった。バット製造元のSSプロダクト(本社金沢市)は「選んで使っていただいたのに申し訳ないと思っております」と謝罪した。中国の工場に製造委託しており「工場側が品質管理を甘く見ていた」と説明したうえで「責任は弊社にある。直ちに出荷停止、回収を始めた。交換品が用意できないので、賠償する」と話した。

 製品安全協会側は、工場側が当初は適合バットを製造していながら、その後は仕様が変わったと認識。品質管理を怠っていたとして製造の是正を求め、5月末までに改善措置を確認するとした。不適合バットによる事故の報告はないという。

 販売されたのは5社(XANAX、三共スポーツ、ハイゴールド、イソノ、ボルテカ)の金属製バットで、昨年11月から3月納品までに計3351本。日本高野連が加盟校に無料配布したなかからは2510本の不適合が確認された。今春センバツ出場32校のうち5校が一部、使用していたことも公表された。どの状況で使われたかは不明なため、記録の扱いには変更がない。

 日本高野連の井本亘事務局長は「違反バットを持っている部員は被害を被り、大変な思いをしている。極めて重大な違反と言わざるを得ない。これまでの努力が水の泡。(製造元に)強く抗議した。今後は、部員が困らないよう速やかに、配布するバットを交換できるよう対応したい」と話した。