◇21日 プレミアムGⅠ「第21回マスターズチャンピオン」最終日(徳島県・鳴門ボート)

 徳島県・鳴門ボートのプレミアムGⅠ「第25回マスターズチャンピオン」は21日、最終日の12Rで優勝戦が行われ、1号艇の菊地孝平がインからコンマ02のトップSで逃げを決め、大会初出場で優勝。GⅠは前節の児島72周年に次ぎ通算17回目の制覇で、賞金1300万円を獲得して同ランクは2位をキープする。2着は赤岩善生、大接戦の3着には寺田祥が入った。

 真骨頂のロケットスタートがさく裂した。自分を信じた快ショットで菊地が大会初出場でV。「井口さんが優勝した昨年を見ていて格好いいと思った。師匠の金子(良昭)さんも獲っているし、獲りたかった」。養成期は下でも年上の後輩、世話になった恩人と同じ称号を手に入れて喜びはひとしおだ。

 6強メンバーが出そろった段階で、菊地はコース取りに最大限の神経を使うことが義務づけられていた。「自分がポカをしない限り、負けるとすれば寺田君、吉川さんが(攻めて)くるとき。冷静なときなら、あそこ(コンマ02)までスタートは行かない。外のプレッシャーで行かされた」。深い起こし位置を覚悟した最悪のパターンは想定しつつも、最後はボート界随一のスタート巧者が面目躍如した瞬間だった。

 前節の児島72周年に続くGⅠ制覇。今年の獲得賞金額は早くも5000万円台が見えてきた。18番目で滑り込んだ昨年のグランプリ出場より、今後のマネーバトルの計画は立てやすい。「(児島の得点率は)18番目から優勝の次はトップでの優勝」。この言葉を素直に受ければ、今年は賞金ランク1位で暮れの大舞台出場も可能だと読み取れる。

 そんな状況でも「先のことを考えても仕方がない。浮かれることはなく(走りたい)。名人を名乗るのも悪くないけど、気持ちはまだまだ若手。チャレンジャー的立場の方が好き」と、年齢を重ねても菊地の心はどこまでも若いまま。『第25代名人』は、あくまで謙虚に、枯れることなく前を向く。

 ▼菊地孝平(きくち・こうへい) 1978(昭和53)年8月16日生まれの45歳。165センチ、52キロ。血液型は〓。岩手県八幡平市出身。国立岩手大学中退。選手養成82期生、静岡支部所属。同期には坪井康晴、中沢和志、赤岩善生、谷村一哉、作間章、横沢剛治らがいる。98年5月・浜名湖でデビュー(5着)。2001年5月・びわこで初優勝。SGは03年・ダービー(戸田)で初出場。05年・メモリアル(若松)で初優勝。ほか、16年・メモリアル(桐生)などビッグ5冠。GⅠ17Vを含む通算優勝は73回。