体重無差別で柔道男子の日本一を争う全日本選手権は29日、東京・日本武道館で行われ、決勝で中野寛太(23)=旭化成=が東京五輪100キロ超級代表の原沢久喜(31)=長府工産=に2―1の旗判定で勝ち、初優勝を飾った。前回王者の王子谷剛志(31)は準決勝で、前回2位の羽賀龍之介(33)=いずれも旭化成=は3回戦で敗退した。

 「最高です」。憧れのタイトルを手した中野は、控えめな声で喜んだ。決勝の相手はリオデジャネイロ五輪銀メダリストの原沢。実力者と序盤は互いに様子を伺い、中盤以降に技を打ち合った。大会1日通じて「厳しい試合が続く中で我慢できた」と振り返る。社会人2年目の現在も、母校の天理大が練習拠点。今大会に向けた元世界王者の穴井隆将監督との特訓が生きた。

 1学年のライバル斉藤立(JESグループ)はパリ五輪代表入りを決めている。これまで斉藤と対戦する機会は少なかったというが、「ロス五輪の選考が始まれば対戦することが多くなると思う。絶対に意識しないといけない相手。どんどん挑んでいきたい」と対抗心を燃やした。ライバル不在の中、ベテランを破ってつかんだ頂点。この結果を自信に、世界の舞台で勝負する。