日本相撲協会は30日、大相撲夏場所の番付を発表し、新三役となる小結に昇進した大の里(23)=二所ノ関=は、師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)から師匠超えとなる新三役での優勝争い指令を受けた。大関琴ノ若改め琴桜(26)=佐渡ケ嶽=は、元横綱の祖父のしこ名を襲名。新入幕は欧勝馬(22)=鳴戸=と時疾風(27)=時津風。春場所で110年ぶりに新入幕優勝した尊富士(25)=伊勢ケ浜=は、幕尻から東前頭6枚目と番付を上げた。

 前を見据えながら大の里が、茨城県阿見町の二所ノ関部屋での会見に同席した師匠からの指令に聞き入った。内容は高難度にして、やりがいたっぷり。新三役場所での優勝争いだった。

 新入幕から2場所連続11勝。「本当に次は、13勝2敗くらいで優勝争いできるような力が、上位で今後は大事になってくる。15日間、勝ち続けるような体づくりもしっかりしていって」

 師匠は新小結だった2006年名古屋場所で8勝7敗。前半戦での横綱、大関総当たりは2勝4敗。壁にぶつかった。一方、横綱としての経験も踏まえて初日、土俵の感覚を探ってエンジン全開となる前の横綱へ、小結が挑戦することが多い番付上の利点も挙げた。

 期待の言葉に、大の里は「前半戦がヤマ場。そこでどうなるかは自分次第だと思うので、最初の5日間をしっかり集中して頑張りたい」。春巡業でも胸を出してもらった照ノ富士へ初白星で恩返し、勢いに乗りたい。

 昭和以降2位のスピード記録となった、初土俵から所要6場所での新三役というスピード出世で、待望のちょんまげ姿を披露する席は、謝罪の場にもなった。

 昨年9月に部屋で20歳未満の力士と飲酒し、日本相撲協会から師匠と共に厳重注意を受けた問題について「たくさんの方に迷惑をかけてしまった。もう一度、自分の姿を土俵の上で見せていきたい」。気持ちを引き締め、新三役の土俵で躍動する。