◇5日 ヤクルト3―6中日(神宮)

 中日の高橋宏斗投手(21)が本来の頼もしい姿を取り戻した。5日のヤクルト戦(神宮)で6者連続三振を奪うなど快投。完封目前の9回に自らの連続失策がからんで3点を失い、悔しさ半分の今季初勝利とはなったが、6―3の快勝に導いた。チームは連敗を3で止め、一日で最下位を脱し4位に浮上。若き右腕とともに再び上位を狙う。

 敵地・神宮でよく投げた。9回2死、マウンドを降りる高橋宏に送られたドラゴンズファンからの拍手がそれを物語る。「8回まではよかったと思います。それだけに最後まで投げたかったんですが…」。試合後、少しばつが悪そうに登板を振り返った右腕。最後の最後に1アウトを取る難しさを知った今季初勝利になった。

 序盤から真っすぐがうなっていた。初回を3人で片付けると一気に加速。4回の先頭・丸山和から6者連続三振。4回2死で迎えた村上にはカウント2―2からアウトハイにこの日最速の157キロをズドン。史上最年少の通算200号に王手をかけている”村神様”のバットに空を切らせた。さらに7回の打席では、三塁線へ絶妙なセーフティーバントで、球場中の意表を突いた。8回まで無失点。自身2度目の完封への期待も膨らんだ。

 だが9回。先頭・西川を歩かせ、続く丸山和の投ゴロを二塁へ悪送球。さらに長岡が放った投ゴロを再び二塁へ悪送球。痛恨の2連続失策で、無死満塁とされると、内野ゴロなどで3失点。あとアウト1つで降板となり、完封だけでなく完投も逃した。「最後が全て。詰めが甘すぎる。フィールディングを練習します」と悔しがった。

 それでも、果たした役割は大きい。2試合連続の延長戦でチームが疲弊していた中で9回途中までマウンドを守り、中継ぎ陣を休ませた。被安打3、11奪三振でヤクルト打線を圧倒した。