◇6日 春季近畿地区高校野球大阪府予選準々決勝 大阪学院大高2―1大阪桐蔭(大阪シティ信用金庫スタジアム)

 プロ注目の今坂幸暉(ともき)遊撃手(3年)を擁する大阪学院大高は大阪桐蔭に逆転勝ちし、4強に進出した。4回戦では履正社にサヨナラ勝ちしており、2009年のPL学園以来となる「大阪2強」の撃破となった。

 逆転の立役者となったのが主将の今坂だった。1点を追う9回、相手は最速154キロを誇るプロ注目の右腕、平嶋桂知投手(3年)で、8回までに3安打、12三振の無失点に封じられていた。先頭の荻野倖(こう)中堅手が四球を選ぶと、3番の今坂が右前安打。ここで大阪桐蔭が三塁へ悪送球し、一塁走者が生還。三塁へ進んだ今坂は5番・志水那優捕手(3年)が打席の際、平嶋の暴投で決勝のホームを踏んだ。

 「履正社に勝ったのはたまたま、と言われたくなかったので大阪2強と言われている二つを倒せて、素直にメチャクチャうれしいです」

 プロ野球のセ・リーグ全てなど9球団スカウトが視察に訪れるなか、今坂は攻守に躍動した。中日の山本将道スカウトは「どちらかと言えば外回りのスイングで、最初は内角を攻められて苦しんでいましたけど、フルスイングできる。スローイングは柔らかくて、基本に忠実なプレー、丁寧にプレーできる遊撃手」と評した。

 先制された失点は今坂が油断したという。6回2死一塁から吉野颯真一塁手(2年)に中前安打された際、中継のカットに入ったが、俊足の一塁走者・境亮陽中堅手(3年)が長駆ホームへ走るとは思わなかったという。三塁を「回ってこないだろうと決めつけがあった」。だからこそ「悔しい思いをしたので、最終打席は絶対に打ってやろうという気持ちでした」と落ちる変化球をとらえた。

 今坂は山口県下関市出身。父の幸生(ゆきお)さんが中日ファンであり、立浪和義内野手(現監督)のファン。その影響もあり、今坂も中日の試合を見る機会が多かったという。打撃では吉田正尚外野手(レッドソックス)、守備では源田壮亮遊撃手(西武)を目標に「3拍子そろった選手を目指しています」と話す一方で、福留孝介外野手(元中日)にもあこがれていた。周囲から「福留2世」と呼ばれることもあって「そうやって取り上げてもらい、うれしいです」と笑みを浮かべた。