東京ドームで6日に行われたボクシングの4大世界戦から一夜明けた7日。メインイベントで逆転KO勝ちした世界4団体統一スーパーバンタム級王者・井上尚弥(31)が、勝利した同じ大橋ジム所属の2選手と共に横浜市内の同ジムで記者会見を行った。初回に生涯初のダウンを喫したとは思えないダメージのないきれいな顔で「満足いく内容というか、すごくいい試合だった。4万人のお客さんが満足して帰ってくれたと思う。自分自身でも歴史に残るいい日になりました」と、晴れやかな表情を見せた。

 試合開始直後から大振りの右でワイルドに仕掛け、結果的にそれが左フックを浴びてのダウンにつながった。

 「死角から入ってきて見えなかった。角度調整のミス。ただ、インターバルで場内のモニターでリプレーを見てインプットした」と、試合中も冷静だったことを明かし、「ドームだし、ダウンしたということでハイテンションになって。楽しかったな」と、目を輝かせて振り返った。

 主催した大橋秀行会長は、井上尚の得た金額は「過去最高」と表現した。ファイトマネーだけで元統一世界ミドル級王者の村田諒太(帝拳)がゴロフキン戦で獲得した6億円を上回り、スポンサー料、グッズ収入を含めると10億円の大台を突破したとみられる。日本ボクシング史上初の「10億円ボクサー」になったといっても過言ではない。

 次戦は、6日のリングにも上がったIBF・WBO1位グッドマン(豪州)と9月に首都圏での対戦で調整中。そこで無事に勝てば年末にもう1試合を行う計画で、サウジアラビア、英国など海外も選択肢にある。「海外が実現すれば(ファイトマネーは)倍ではききません」と大橋会長。東京ドームでスリリングな試合を見せて日本中を熱狂させ、さらに大きな存在になっていく。