仮想通貨コミュニティは、今年の仮想通貨市場および米国のマクロ経済の行方に大きな影響を与える可能性のある、今月の3つの重要なイベントに注目している。

7月13日には、月次の消費者物価指数(CPI)とインフレに関連するデータが公開される予定だ。7月26〜27日には、さらなる利上げを行うかどうかが決定され、7月28日には、米国の2022年第2四半期の国内総生産(GDP)速報値が、テクニカル・リセッションに陥っているかどうかを教えてくれることになる。

7月13日: 消費者物価指数
仮想通貨コンサルティング・教育プラットフォーム「EightGlobal」のCEO兼創設者であるミカエル・ファン・デ・ポッペ氏は、7月4日に自身のツイッターで「来週のCPIデータに注目だ」と語り、ビットコインが2万ドルを超えた場合の強気の予測を付け加えている。

一方ツイッターで「WolvesofCrypto」として活動するアカウントは、CPIが予想より低くなれば、ビットコインの「デッドキャットバウンスのきっかけになり得る」と付け加え、その日に注目するようフォロワーに伝えた

CPIは、インフレの進行状況を把握するための指標の一つで、家計関連の商品やサービスをもとに、消費者物価の平均的な変動を測定するものだ。

インフレの継続的な上昇は、消費者が以前より多くの支出をする必要があるため、仮想通貨の需要に影響を与える可能性がある。

興味深いことに、ビットコインは2008年の世界金融危機後のインフレの中で誕生し、その上限が設定された供給量と希少性からインフレのヘッジ手段として注目されたが、近年の仮想通貨のパフォーマンスはハイテク株と同様でインフレ対策とは言い難いものとなっている。

米国労働統計局によるCPIの次回発表は、2022年7月13日の予定だ。

Trading Economicsによると、6月のインフレ率(CPI)の現在のコンセンサスは8.7%で、5月の8.6%を若干上回っている。

7月26〜27日: FOMC
6月に75ベーシスポイント(bp)という 28年ぶりの大幅な利上げを行ったが、今月末の米連邦公開市場委員会 (FOMC)を経て、さらに金利が上昇すると予想されている。

金利の引き上げは、米連邦準備制度理事会(FRB)が景気を減速させることによってインフレをコントロールするために用いる手段の一つでだ。金利の上昇は借入コストの上昇につながり、消費者や企業の支出、融資を抑制することになる。

また、投資家が有利子口座や低リスクの資産に資金を預けておくだけで適切なリターンを得られるようになるため、仮想通貨などの高リスクな資産の価格には下落圧力がかかる可能性がある。

今月、FOMCは50bpまたは75bpの引き上げを課すかどうかを決定すると見られている。Compound Capital Advisorsの創設者兼CEOであるチャーリー・ビレッロ氏は、75bpの利上げになるのではないかと予想している。

7月28日: リセッションになるか?
7月28日、米経済分析局(BEA)は2022年第2四半期の米国GDPの速報値を発表する。

GDPは2022年第1四半期に-1.6%を記録したアトランタ連邦準備銀行のGDPNowトラッカーは、2022年第2四半期のGDP成長率を-2.1%と予想している。

2四半期連続でGDPが減少した場合、米国は「テクニカル・リセッション」に陥る。

米国経済が正式にリセッションと認定されれば、ビットコインは史上初の本格的なリセッションに直面することになり、ハイテク株と並んで下落が続くと見られる。

Silver lining?
マクロ的な予測は暗いものだが、仮想通貨業界の主要な専門家の中には、最近のマクロ経済による仮想通貨市場の暴落は、業界にとって全体的に明るい兆しであると見ている人たちもいる。

シェイプシフトのCEO兼創業者であるエリック・ボーヒーズ氏は、今回の仮想通貨の暴落は仮想通貨以外のマクロ要因による初めての暴落であり、「最も心配が少ない」と述べている。

Alliance DAOのコアコントリビューターであるチャオ・ワン氏も、今回のサイクルでは弱気な動きが「外生的要因」である初めてのサイクルであると指摘した。同氏によれば これまでのサイクルでは「Mt.Gox(2014年)やICO(2018年)など、内生的なものだった」。同氏はそのため、以前のサイクルよりも今回の方が強気だと主張してる。