今年3月末をもって人気演芸番組「笑点」(日本テレビ)からの勇退を発表している林家木久扇師匠(86)。番組では毎週のように勇退・引退の言葉が当人から発せられるものの、なぜか後継者選びの話題は盛り上がっていない。そんな中、思わぬ芸人の名が飛び出して――。

 ***

 日曜夕方に放送されている長寿番組「笑点」。1966年5月のスタートだから、実に57年もの歴史を誇る。中でも木久扇は69年にレギュラー入りした最長老であり、番組名物の大喜利ではトレードマークの黄色い着物で与太郎(おバカ)キャラを演じ続けている。民放プロデューサーは言う。

「勇退まで時間があるとはいえ、業界内では後任選びの話題がいまひとつ盛り上がっていません。『笑点』スタッフとしては、ちょっと残念な状況でしょうね」

 2021年末に2代目林家三平(53)が勇退し、後を継いだのがライトグリーンの着物の桂宮治(47)。また、22年9月に6代目三遊亭円楽(1950〜2022)が亡くなり、それを継いだのが黒紋付きの春風亭一之輔(46)だ。ここ数年の間に立て続けにメンバーの入れ替えがあったことも原因だろうか。とはいえ、木久扇の後継となるキャラはなかなか見当たるものではない。

「ネット上では木久扇師匠の後任として、爆笑問題の太田光さん(58)の名前が挙がり話題になっています」

 言うまでもないが、彼は落語家ではない。

「とはいえ、歴代司会者の中には放送作家でタレントだった前田武彦さん(1929〜2011)やコメディアンの初代三波伸介さん(1930〜1982)もいました。座布団運びにしても、俳優の毒蝮三太夫さん(87)や松崎真さん(1932〜2015)、現在の山田隆夫さん(67)だって落語家ではありません」

 太田がレギュラーになる可能性があるのだろうか。

回答者は落語家

「もちろんネタでしょう。ただ、昨年夏に木久扇師匠が勇退を発表するとすぐ、自身のラジオ番組で『まだオファー来てないんだけど、それはもう準備しています』などと言っていました。『笑点』に出たいとも言っていたので、ネット民も『彼なら面白い』と反応したのでしょう」

 番組企画者であり初代司会者でもあった立川談志(1936〜2011)から「太田は“オレの隠し子”」と呼ばれるほど可愛がられたことは有名だ。

「卓越した芸能評論家でもあった談志師匠が認めた太田さんですからね。そのかわいがり方は本当の弟子たちが嫉妬するほどだったと言われています。太田さんも談志さんを師と仰ぎ、立川流とのつながりもあったので、こうした発言になったのでしょう」

 もっとも、司会の春風亭昇太(64)は昨年末、木久扇の後継者に相応しい人として「ある程度、落語家として出来上がってる人」と語っている。

「やはり落語家から選ぶのが常識的でしょう。司会と座布団運びはいいとしても、歴代回答者は落語家だけでしたから」

 では、後継者には誰が?

太田光の出番

「一之輔さんに決まる前、さまざまな落語家が円楽師匠の代役として登場してレギュラー争いを演じました。その中には談志師匠の弟子である立川志らくさん(60)もいましたが、番組史上初の女性落語家として最も期待されていたのが蝶花楼桃花さん(42)でした。今回も彼女が本命と見られています」

 他には?

「木久扇師匠の長男で父の芸名を継いだ2代目林家木久蔵さん(48)、昇太師匠の弟子の春風亭昇々さん(39)と春風亭昇也さん(41)、三代目柳亭小痴楽さん(35)なども有望でしょう。いずれも真打ちです」

 考えてみれば、一之輔の決定まで半年以上かかった。

「やはり最年長が番組を去るのですから、若返りを図るべきでしょう。ただ、そのまま決めては面白みがない。今回も4月から代打を多用して、盛り上がったところで決めるということも考えられます。その間、爆笑の太田さんや伊集院光さん(56)などを出演させたら盛り上がるかもしれません。伊集院さんは6代目円楽さんの弟子でもありましたしね」

デイリー新潮編集部