4月1日、元NHKの青井実アナ(43)を迎えてリニューアルしたフジテレビの報道番組「Live News イット!」(平日15:45〜19:00)がスタートした。同時間帯の民放他局の報道番組と比べると、世帯視聴率は相変わらず最下位のまま。ところが……。

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 オープニングは、青井アナが宮司愛海アナ(32)とお笑い芸人のパックンことパトリック・ハーラン(53)を従え、記者たちが働く報道フロアを突っ切ってスタジオ入り。報道フロアとスタジオの間には仕切りがなく、地続きだ。

青井アナ:みなさん、こんにちは。4月1日月曜日の「イット!」です。今日から「イット!」は新体制を迎えます。新たにキャスターを務めさせていただきます青井実です。そしてスペシャルキャスターにパトリック・ハーマンさん、さらに宮司愛海キャスターと共にお伝えしていきます。よろしくお願いいたします。

宮司アナ:新生活を始められた方も多いと思いますが、まさに青井さんも今日からということですね。

青井アナ:そうですね。新たな人生のスタートと言いますか……。

パックン:セカンドライフ!

青井アナ:そうですね。心機一転、頑張って参りたいと思います。

 初っ端くらい番組名を省略せずに言ったほうがいいのではないかという気もするが、ニュースに入ると青井アナはオープニングで歩いてきた報道フロアに歩み寄り、働く記者たちを背景に原稿を読み始めた。民放プロデューサーは言う。

コア視聴率では2位に

「スタジオが一新され、取り上げるニュースもオーソドックスになりました。能登半島地震から3カ月を軸に、愛子さまの日本赤十字入社、小林製薬の紅麹問題、メジャーリーグ、ウクライナ戦争とイスラエルによるガザ地区侵攻、そして気象情報と、ストレートニュースで押していきました。意外なほどおちゃらけ感はありませんでした」

 デイリー新潮は3月7日配信の「『イット!』MCになる青井実アナはNHKの元直属上司と因縁の対決へ…3強2弱でいきなり正念場」など、複数回にわたって青井アナのお坊ちゃまぶりなどを報じてきた。

「NHK在籍時、上司の許可を得ずに親族企業から役員報酬を得ていたことで厳重注意を受け、メインキャスターを務めていた『ニュースウオッチ9』を挨拶もなく途中降板し、そのまま退局。“体はLL、態度はXL”と揶揄されたほどで、『イット!』は始まる前からコケているという声もありました。そのため彼の持ち味である明るさを前面に出してくるかと思いましたが、かえって番組のイメージを悪くしかねないのでやめたのでしょう」

 世帯視聴率は最下位のままだった。18時台で比べると以下の通りだ(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。

●日本テレビ「news every.」8・5%
●テレビ朝日「スーパーJチャンネル」7・2%
●TBS「Nスタ」5・7%
●フジ「イット!」4・9%

「とはいえ、『イット!』は前4週と比べると0・6ポイント上がっています。個人視聴率の2・8%も前4週より良かった。さらに、コア視聴率は1・4%で、『every』(2・7%)に次ぐ2位に躍り出ました」

 躍進と言っていいのだろうか。

あの青井アナ

「リニューアルした『イット!』は、グルメでもなくエンタメでもなく、硬派を通しました。賽銭泥棒の撮影など独自色も出し、16時、17時、18時の正時で仕切り直すこともなく、番組をストップせずにネタでまたぐなど新たな番組作りも見られました。それでも、数字が良かったのは、初回の物珍しさからでしょう。青井アナはなんの挨拶もなしにNHKを辞めた挙げ句、『イット!』の記者発表の場で異例の謝罪をしたことで、SNS上では『何でフジに来て謝ってんだ!』と総ツッコミを受けていました。もっとも、それによって彼が本当に4月からキャスターを務めることが周知されたわけです。彼がどんな顔をして報道番組を務めるのか、興味を持った視聴者は少なくないと思います」

 ならば今後は?

「視聴者はどうしても“あの青井アナ”という先入観を持って見てしまいます。視聴率は好感度が第一ですから、明るい未来が待っているとは言いがたい。スペシャルキャスターという御意見番的なパックンも疑問です。自民党の裏金問題の際には『私は(日本)国民ではありませんが、税金は払っています』と前置きしてから持論を語っていましたが、多くの視聴者は外国人に自国の出来事を批判されるのを嫌う傾向がある。米ハーバード大卒のお笑い芸人ということで気の利いたことは言えるかもしれませんが、少なくとも初日は傾聴に値するコメントはなかったですね」

 それだけに可哀想なのが宮司アナだという。

「先輩の加藤綾子アナからMCを引き継ぎ、3月まで榎並大二郎アナと共に生え抜きの局アナ2人で『イット!』を担当してきました。評判が良かった相棒の榎並アナを失った上に、青井アナとパックンの下、孤軍奮闘といった印象です」

 なぜ、フジはこのような選択をしたのだろう。

「本当に懲りていませんね。2016年には『報道ステーション』(テレ朝)のコメンテーターとして一躍人気者となったコンサルタントのショーンKを引き抜き、深夜の報道番組『ユアタイム』のMC抜擢を発表したものの、経歴詐称が報じられて取り消しに。18年には元NHKの登坂淳一アナを『プライムニュース イブニング』のMCに起用すると発表した後、彼のセクハラ報道で消滅しました。その番組を引き継いだのが『イット!』ですから、二度あることは三度あるとは言いますけどね……」

デイリー新潮編集部