NHK新年度の目玉「午後LIVE ニュースーン」がスタートした。平日15時10分〜17時57分まで、およそ3時間にわたる生放送、大型の報道・情報番組だ。ところが、全く話題になっていない。

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 これまで平日の午後にNHK総合で放送されていた報道・情報番組は、17時台の「ニュースLIVE! ゆう5時」(月〜木曜・東京放送センター制作)と「ニュース きん5時」(金曜・大阪放送局制作)だった。それを一気に3倍もの長時間番組にしたのが「ニュースーン」だ。民放プロデューサーは言う。

「業界でも驚くほど話題になっていません。『ニュースーン』に加え大阪放送局から放送される『列島ニュース』も50分から95分に拡大され、18時台のローカルニュース、19時台の『ニュース7』を合わせ、なんと6時間30分もの連続生放送になります。業界で注目されてしかるべきなのに……」

 なぜなのか。

「まず、連続生放送と言うわりには、定時には5分間のニュース、『ニュースーン』の前には『時論公論』の再放送が10分、さらに『みんなのうた』などが挟まるので、生放送の番組には感じられません。また、初日の4月1日は『国会中継』(13:00〜17:08)が生放送され、『ニュースーン』の放送時間が1時間にも満たなかったという不運もありました」

 初回の世帯視聴率は1・7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区:以下同)だった。

「『国会中継』の視聴率が0・8%だったので、仕方ない部分もありました。ところが、2日目以降も変わらなかった。『ニュースーン』は15時台、16時台、17時台の3部構成で、それぞれの視聴率を挙げると……」

コア視聴率は*印

●4月2日【1部】1・0%【2部】1・0%【3部】2・0%
●4月3日【1部】1・8%【2部】1・8%【3部】2・9%
●4月4日【1部】1・0%【2部】1・2%【3部】2・5%

「禁断のゼロコンマが目前の有様です。民放が最も重視するコア視聴率で見ると、4日の1部と2部で*印に。つまり、誰も見ていないも同前なのです」

 4月3日の視聴率は若干上がったが、翌日はまた下がった。

「新番組だと気づいた人がようやく見たものの、呆れた人が大半だったのかもしれません。正直言って、演出が酷いんです」

 思えば、スタート前に放送された番宣CMを見た時から、嫌な予感はあった。キャスターの池田伸子アナと伊藤海彦アナの低いトーンに覇気が感じられなかったのだ。

池田アナ:伊藤海彦さん、午後の新番組が始まるらしいですね。

伊藤アナ:池田伸子さん、およそ3時間、生放送らしいですよ。

池田アナ:長いですね……「午後LIVE ニュースーン」ですって。

伊藤アナ:「ニュースーン」……んー。

 狙ったつもりかもしれないが、見てみようとは思わせないCMだった。

不具合続出

「キャスターの2人は頑張っていると思いますよ。『ニュース7』や『首都圏ニュース845』などで実力を培ってきた池田アナと、同期入社で経歴もよく似ている伊藤アナのコンビも悪くない。悪いのは演出面です」

 具体的に指摘してもらうと、

「例えば、2日の放送では第2部でスクリーン画面の不具合が相次ぎました。冒頭の“NEWS日替わりプレート”は東京証券取引所からの中継のはずでしたが、別のコーナーに出演するヒコロヒーの映像が大映しとなり、キャスターの2人もフリーズしていました。さらに、再放送のコーナー“蔵出しセレクション”では、“蘇る『新日本紀行』”と紹介しながら画面に出たのは“飲酒検問中”と表示したパトカーでした」

 まあ、実質初日なのだから、ミスもあったかもしれない。

「4日の放送では、民放が台湾地震の現地中継や自民党裏金議員の処分で大わらわの中、『ニュースーン』はほとんど無視でした。その挙げ句、タイムリーな現場にスマホを持って駆けつけるという“かけつけLIVE”は、日本橋(東京・中央区)の江戸桜通りからの桜中継でした」

中継アナ:ここは歴史的建造物と桜との共演です。こちら後ろにあるのが、国の重要文化財に指定されている三井本館です。どうですか? 情緒感じませんか?

「電波状況が悪かったのか、画像は止まったり動いたり、動いてもぐしゃぐしゃという状況で、スタジオの2人も戸惑っていました。皆さまからの受信料のおかげで職員も中継車も潤沢なNHKなんだから、スマなんかで中継するな、ちゃんと見せろよとフラストレーションが溜まりました。大谷翔平の今季初ホームランだって、いいネタなのにわずか1分だけでした。にもかかわらず、立川談志のアーカイブや番宣まがいのNHKネットコンテンツの紹介、堤真一へのインタビューだって、現在、BSで放送中のドラマ『舟を編む〜私、辞書つくります〜』絡みなのはミエミエ。ネタの並べ方も演出も、中学生の放送研究会並みです」

 民放で同じような番組を放送したらどうなるのだろう。

「こんな番組を放送したら、即現場から異動ですよ。NHKが放送してくれるのは、民放にとっては逆にありがたいですけど」

 前途は多難のようだ。

デイリー新潮編集部