4月6日、女優の吉岡里帆(31)が自身のInstagramを更新し、戸田恵梨香や有村架純らが所属する「フラーム」と新たな契約を結んだことを明かした。これまで所属していた「A-Team(エー・チーム)」は4月1日に突然、休業を発表。創業者である小笠原明男氏が亡くなって6年、芸能界に衝撃が走ったばかりだった。

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 2018年5月8日に大腸癌のため62歳の若さで亡くなった小笠原氏の通夜で、憔悴しきった吉岡里帆が号泣しながら記者たちに懇願した姿を覚えている方もいるだろう。

「私が渡したお守りをずっと携帯ケースに入れてくださっていたんです……記事にするなら、優しくて人情があってかっこよくて、お客さんのことばかり考えていた人だったと書いてください。お願いします」

 東京・港区の青山葬儀所で営まれた通夜・告別式には、両日合わせておよそ2600人が弔問に訪れた。それだけでも、いかに交友が広く、多くの人に慕われていたかがわかる。吉岡など所属タレントだけでなく、佐藤浩市や松山千春、中村勘九郎、山崎努、永島敏行、内田裕也、羽鳥慎一アナ、映画監督の三池崇史氏らも参列した。

 小笠原氏とはどんな人物だったのだろう。芸能記者は言う。

「豪放磊落な性格で、周囲を明るくする人でした。そして、誰彼となく大勢で夜の街に繰り出し、全員に送りの車まで手配する。手回しがいいから取引先も仕事がしやすかったようです。A-Teamの歴史はそれほど古いわけではありませんが、人気俳優を育てるのが上手く、カリスマ社長の異名もありました。映画監督の滝田洋二郎氏のマネジメントも手がけ、監督作の『おくりびと』が日本映画として初めて08年の米アカデミー賞で外国語映画賞を受賞した際は、小笠原さんも授賞式で満面の笑顔を見せていました。また、岩城滉一さんもA-Teamに所属し、小笠原さんとは半世紀近いつきあいがあったそうです」

 暴れん坊のイメージがある岩城が、小笠原氏の葬儀では「手のかかる男で、悪者で大変だった。これからっていう時に病気をして……。すごく残念です。寂しいよ……」と答えていた。

A-Teamでブレイク

 北海道出身の小笠原氏は、アパレル会社などの勤務を経て、俳優の永島敏行に請われたことがきっかけで芸能事務所スカイコーポレーションに入社。永島のほか石田純一らのマネージャーを務めた。独立してA-Teamを創業したのは1996年5月のことだった。

「第1号の所属タレントとなったのは伊藤英明でした。彼は93年のジュノン・スーパーボーイ・コンテストで準グランプリを受賞して上京したものの鳴かず飛ばずで、最初の所属事務所も辞めて肉体労働で食いつないでいたそうです。それを小笠原氏が口説き落として、97年から芸能活動を再開、人気俳優へと育てたのです」

 伊藤は小笠原の通夜でこう語っていた。

《「自分の父親より大きな存在でした」と言い切った伊藤。「俳優として、まっとうに生きて、小笠原明男という名前を光らせて、伊藤英明を育ててよかったって、明男さんを愛した人に恩返しができればいいなと思っています」》(女性セブン18年5月31日号)

「何年も下積みを経験した吉岡は『ここの看板女優になるから、お願いだから私を今すぐここの事務所に入れてください』と小笠原社長に直訴してA-Taem入りしました。伊藤や吉岡をはじめ、松本まりか、酒井若菜なども、なかなか芽が出ないところをA-Teamに拾ってもらいブレークしたと言っていいでしょう」

 ところが、看板俳優だったはずの伊藤が22年3月に移籍する。

所属タレントが次々と辞め

「小笠原氏を失ったA-Taemは、ベテラン社員を二代目社長にして継続されましたが、やはりカリスマ社長がいなくなると色々と難しいところもあるのでしょう。さらに、二代目社長と小笠原氏の妻との折り合いもよくなくなかった。彼女は芸能関係のことはほとんどわからないのですが、週に3日ほど事務所に顔を出し、それがかえって仕事の邪魔になっていたと聞きます。それに愛想が尽きて、伊藤は移籍を決めたのでしょう」

 翌23年には、A-Teamを背負って立つと思われた神尾楓珠と松本まりかも他事務所に移籍した。

「もともと神尾は伊藤を慕ってA-Team入りしましたから、伊藤の移籍はショックだったようです。22年年末から仕事の降板やキャンセルが相次ぐようになっていました。松本も色々な事務所を経てA-Teamに入ってから現在の活躍に繋がりました。それでもA-Taemを去ったのは、よほどの事情があったのでしょう」

 そして4月1日に事務所の休業宣言である。3日には酒井若菜と臼田あさ美もそれぞれのInstagramで独立を発表した。そして、看板女優となった吉岡も移籍を決めた。

「今年2月23日、彼女はInstagramに気になる言葉を残しています。ちょうど、4月から出演予定だったドラマ『たーたん』(日本テレビ)が『セクシー田中さん』(同前)の影響で制作中止が決まった時のものですが、それだけはないように受け取れました」

 吉岡はInstagramにこう綴っていた。

《4月期ドラマ“たーたん”制作中止が発表されました。大事な決定だと思います。/今年に入って考えること沢山あります。/改革の時なんだなきっと。/兎に角目の前の仕事を一生懸命に…/環境に感謝して、人に物事に誠実に。》

 吉岡自身にとっても、まさに改革の時だったようだ。

デイリー新潮編集部