市川猿之助(48)が両親と共に自殺を図り、一人生き残ったのは昨年5月。芸能界を揺るがした事件から間もなく1年がたつわけだが、余波はまだ続いている。彼が元々所属していた芸能事務所から、売れっ子俳優がごっそり退所しているのだ。

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 その芸能事務所は「ケイファクトリー」。猿之助はここに所属していたが、昨年11月、執行猶予付きの有罪判決を下されたのを機に契約終了となった。今月1日、そんな同社からの退所が発表されたのは、佐々木蔵之介(56)と佐藤隆太(44)の二人である。

「佐藤はCMに出演していた『ビッグモーター』の不祥事の影響もありますが、やはり二人が退所する背景に猿之助の事件があるのは間違いありません」

 芸能プロダクション関係者はそう語る。

「そもそもこの事務所に猿之助を紹介したのは蔵之介。蔵之介は2021年、53歳の時に結婚を発表していますが、この年まで独身だったこともあり、猿之助と“デキている”説もささやかれていた。それほどに親しかったので、事件で受けたショックはひときわ大きかったはずです」

俳優が続々と退所

「ケイファクトリー」は元々、名物映画プロデューサーだった伊地智啓氏が立ち上げた会社である。同氏は著書『映画の荒野を走れ』で佐々木について、

〈彼もケイファクトリーに来るときはだいぶ迷ったみたいでね。一緒にやろうかって言ったら、少し考えさせてくださいって。忘れかけていた頃、二ヶ月は経ってた、突然現れて、「ぜひ一緒にやらせてください」と始まった。間もなくテレビに売り込みがうまくいったりして、スターダムに乗っかるのが早かったね〉

 と語っている。

「伊地智さんは02年に会社を辞め、20年に亡くなりました。そうして事務所の求心力が落ちていたところに、猿之助の事件が起こったのです」(芸能関係者)

 今月1日、「ケイファクトリー」からの退所が発表されたのは佐々木と佐藤だけではなく、

「俳優の田邊和也(38)と藤野涼子(24)も、二人同様3月末で退所しています」

 と、芸能関係者が続ける。

「蔵之介と藤野の二人は退所後、『アンカー』に所属することになりましたが、この事務所の代表取締役を務めるのは『ケイファクトリー』の元役員。藤野はマネージャーと共に移籍しましたし、制作部門の社員も引き連れていったという話もある。『ケイファクトリー』はもはや虫の息です」

市川團子に稽古を

「ケイファクトリー」の鈴木聡社長は佐々木と佐藤の退所について、

「期間満了したんで、契約が終わった、と」

 そう話すのみだった。

 猿之助は「女性セブン」によると「自殺ほう助事件」の舞台となった都内の自宅で生活しているとされるが、歌舞伎に関係する仕事への復帰は意外に早かったようだ。

 梨園関係者が言う。

「今年の2月から3月にかけて上演されたスーパー歌舞伎『ヤマトタケル』で猿之助は、主演を務めた市川團子(20)に稽古をつけた。團子の父親の市川中車(58)=香川照之=も『父(猿翁)から四代目(猿之助)に伝わったことを團子に伝えていく作業をしていただいています』と明かしていました」

 松竹の関係者によると、

「猿之助が表舞台に復帰するまでには、まだ2、3年はかかると思います。正式な謝罪会見も必要ですし、復帰するための“筋書き”も必要でしょう」

 元千両役者はいかにして奈落から這い上がるのか。

「週刊新潮」2024年4月25日号 掲載