結成16年以上の漫才師が出場する「THE SECOND〜漫才トーナメント〜」(フジテレビ)のグランプリファイナルが5月18日に生放送される。併せて、アンバサダーだった松本人志に代わり、くりぃむしちゅーの有田哲平がハイパーゼネラルマネージャー、博多華丸・大吉の2人がスペシャルサポーターを務めることが発表された。司会は引き続き東野幸治と宮司愛海アナが務める。

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 今のところSNSに“松本ロス”の声は見当たらない。民放ディレクターは言う。

「むしろ、有田と華丸・大吉が『THE SECOND』という賞レースに絡むことを期待する声が多いようです。人気と実力が認められた3人だけに否定的な声は聞こえてきません。加えて、『THE SECOND』は松本さんが番組の顔として浸透していなかったことも大きいでしょう」

「THE SECOND」は昨年から始まった漫才トーナメントだ。

「そのため3人とも“松本の代役”とは見られていないのです。そして視聴者が徐々に“松本のいないテレビ”に慣れ、それが当たり前になってきていることもあるでしょう」

 松本ロスが冷めてきたということか。

「お笑いのトップを極めた松本さんでさえ、ロスが話題になる期間はそう長くなかったということです。今年1月、性加害疑惑を報じた週刊文春との裁判に注力するため松本さんが芸能活動休止を発表した当初は、レギュラー番組の代役問題が話題となりましたが……」

 最も存続が危ぶまれていたのが「まつもtoなかい」(フジ)だった。

「ところが、単独MCとなった中居正広さんは、1月28日放送のオープニングで自虐トークを展開しました」

「ガキ使」に不在の影響

中居:松本人志さんが活動を休止するということで……私一人になりました。松本さんが出てる番組の中で、ぶっ倒れそうな番組、断トツで「まつもtoなかい」だって。

「見事なMCだったと思います。この週のゲストは秋元康と二宮和也で、翌週から『だれかtoなかい』に改題し、司会が中居と二宮になったことでかえって視聴率を上げました。4月には二宮が卒業しムロツヨシに代わりましたが、これも評判がいい。結局、松本の不在が唯一、プラスとなった番組になりました」

 逆に影響が大きかった番組は何だろうか。

「最も影響を受けたのは『ガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ)でしょう」

「ガキ使」はダウンタウンの2人が東京に進出してすぐにスタートした冠番組だ。

「演者でありながら企画・構成を担っていた松本さんがいなくなったことで、番組の面白さが半減したり笑いのボリュームが小さくなったりと、パワーダウンが指摘されています」

 ダウンタウンの他の冠番組、『水曜日のダウンタウン』(TBS)と『ダウンタウンDX』(日テレ/読売テレビ制作)はどうだろう。

「酒のツマミ」は大悟で盛り返し

「『水ダウ』のメイン企画は、プレゼンターが唱える仮説を検証するVTRです。VTRに面白さのレベル低下は見られませんが、そこに松本さんとの絡みがなくなっただけで『水ダウ』らしさが弱まっているように思えます。過去の松本さんの映像を使うことで、らしさを維持しようという狙いが伺えます。一方、3月20日には前週とほぼ同じ内容を放送した上で、《今年度分の番組予算が底をついたため、先週と同じ内容を放送させていただきました》とテロップで流すという驚愕の編成を行いました。新たな方向性と言うより、迷いが生じているようにも見えます」

「ダウンタウンDX」にもパワーダウンが見られるという。

「トークバラエティとしては十分成立していますが、やはり浜田雅功さんの1人MCではパワーダウンも仕方ないでしょう。松本不在の穴はゲストの芸人たちに埋めてもらおうという演出が見られます」

 ならば、松本がMCを務めていた他のレギュラー番組はどうか。

「『人志松本の酒のツマミになる話』(フジ)は番組名を『酒のツマミになる話』に改め、代役MCとして千鳥の大悟を立てました。松本さんのイメージが強い番組なのでは、当初は大悟といえども分が悪かった。ただし、“松本の代役”と見られているうちは苦戦したものの、今は“大悟の番組”として見ている視聴者が増えているようです。『クレイジージャーニー』(TBS)は司会に設楽統(バナナマン)と小池栄子が残っているので、松本ロスの影響はほとんどないようです」

賞レースへの影響

 松本ロスのイメージをいかになくすかがポイントのようだ。その点で「THE SECOND」は影響を受けずに済みそうだ。今年の「THE SECOND」には、松本が務めたアンバサダーの後任はいない。

「有田と華丸・大吉がアンバサダーを名乗らなかったのは、松本さん復帰への配慮でしょう。そもそも『THE SECOND』の審査員は番組が選出した100人の観客で、MCは東野幸治、主役はファイナリストたちですから、3人がどれだけ前面に出てくるのか、どんな役割で番組を盛り上げるのかが腕の見せ所であり、難しいところです。もちろん、本番の出来次第では『松本のほうが良かった』『やっぱり松ちゃんじゃないと』といった否定的な声が出る可能性もあります」

 それにしても、お笑いの賞レースに必ずと言っていいほど、松本は絡んでいた。

「『THE SECOND』はもちろん、『M-1グランプリ』『キングオブコント』といった賞レースの権威づけに松本人志の名は欠かせず、番組の顔としてお笑いを見守る役でした。それだけに彼の代役を見つけることは難しい。代役選びに失敗すれば、番組存続の危機を迎える可能性もあります」

 秋には松本が審査員を務めていた「キングオブコント」、12月には「M-1グランプリ」の決勝が行われる。果たして、それぞれの代役はどうなるだろうか。

デイリー新潮編集部