4月28日に投開票が行われる衆院トリプル補欠選挙(東京15区、長崎3区、島根1区)が近づいてきた。裏金問題のあおりを受け、自民党は東京と長崎の公認候補擁立を見送った。そこで注目されるのが、東京15区から出馬を予定する作家の乙武洋匡氏(47)だ。小池百合子・東京都知事が率いる都民ファーストの会が擁立し、独自候補を出せない自民党がこれに相乗りすると報じられている。さらに連立を組む公明党の支持を取り付ければ鬼に金棒だが、どういうわけか難色を示している。

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 東京15区は、公職選挙法違反(買収)で有罪が確定した柿沢未途・前法務副大臣(53=自民党を離党)の辞職に伴う補選だ。ただでさえ裏金問題で逆風が吹いている自民党は、独自候補を出せる状況にはない。そのためか、現在8人もの立候補予定者が乱立している。

●須藤元気(46)無所属 参議院議員(1期)・元格闘家
●秋元司(52)無所属 元自民党衆議院議員(IR汚職事件で起訴され上告中)
●金沢結衣(33)日本維新の会 元会社員
●小堤東(34)日本共産党 党地区委員長
●吉川里奈(36)参政党 看護師
●飯山陽(48)日本保守党 麗沢大客員教授
●酒井菜摘(37)立憲民主党 元江東区議
●乙武洋匡(47)無所属

 自民党の茂木敏充幹事長は4月2日、これらの候補の中から乙武氏を推薦する方向で手続きに入ったことを記者団に明かした。連立を組む公明党もこれに乗ると思われたが、同日付の産経新聞によれば、石井啓一幹事長は自民党幹部との会合でこう言って難色を示したという。

「現場の反応としては非常に厳しい」

 どういう意味なのか、政治部記者に聞いた。

「公明党の支持母体である創価学会、その中でも女性部は、選挙活動の現場で票集めに奔走してくれるので、国会議員といえども彼女たちの意向には逆らえません。その女性部が、過去に女性問題のあった乙武氏を応援できないと反対しているのです」

 乙武氏の女性問題をご存知ない方のために振り返ってみよう。

600万部を超えた「五体不満足」

 乙武氏が注目されたのは、早稲田大学在学中の1998年に著書「五体不満足」(講談社)を出版したことだった。重い障害を持ちながらも暗さや劣等感を感じさせない爽やかな内容が評判となり、累計600万部を超える大ベストセラーになった。

 その後、スポーツライターや日本テレビ「NEWS ZERO」のキャスターを務めるなどメディアで活躍。私生活では2001年に大学の1年後輩と結婚、3人の子宝に恵まれ“育メン”としても知られるようになった。

 非の打ちどころのない好青年に、最初に目を付けたのが自民党だった。16年7月の参院選に乙武氏擁立で調整に入ったその矢先、週刊新潮(3月31号)が報じたのが「一夫一婦制では不満足 『乙武クン』5人との不倫」だった。前年のクリスマスから1月2日かけ、妻とは異なる女性とチュニジアとパリに旅行に出かけた乙武氏に事実を確認すると、彼はこう答えた。

《「その女性とは、皆さんが『そういう関係なんじゃないか』と思っているような関係です。ええ、まあ、あのー、親しくて、まあ、お会いさせていただくことのある女性、ということになりますね。(中略)不倫と認識していただいて構いません。彼女とは3、4年前からのお付き合いになります。長男が誕生しまして、まあよくある話ですけど、妻が母になり、夫婦らしさみたいなものが次第に失われていって……」》

 ここで乙武氏の告白は終わるかと思われたが、まだ続いた。

5人と不倫

《「今回、旅行に行った女性のほかに、(中略)妻以外の女性が全くいなかったと言えば、嘘になります。まあ、1人、2人ですかね。彼女たちはいわゆる一晩限りです。他にはですか……。一緒に旅行に行った女性と同じような関係の女性がこれまでに他に2人いました。はい、5人と不倫したということになります(後略)」》

 なんとも大胆な発言だが、無論、この後の参院選出馬は見送られた。

「ちなみに当時、党選対委員長として彼の擁立に向けて尽力したのが茂木幹事長でした。その後、妻と離婚した乙武氏は、『ワイドナショー』(フジテレビ)などで義足歩行に取り組む姿などが放送されて再び好感度を上げ、22年7月の参院選に東京選挙区から立候補しました。しかし、改選数6人に対し、立候補34人中9位で落選しました」

 政治家になることを諦めきれない乙武氏にとって、今回の補選は3度目の挑戦になる。

「公明党の高木陽介政調会長も乙武氏の過去の女性問題に触れ、『地元の声を聞いているが、大変厳しい状況だ』と会見で答えています。創価学会女性部の反発は相当強いようです。乙武氏が公明党の支援が受けられないとなると、東京15区は大混戦になるでしょう」

デイリー新潮編集部