4月28日に投開票される衆院3補欠選挙について、自民党は東京15区と長崎3区は、独自候補の擁立を断念し、島根1区に注力する方針を固めた。

 東京15区は、小池都知事が率いる「ファーストの会」が擁立する作家の乙武洋匡氏(47)を推薦する方向だ。

「自民党は最初から、東京15区はファーストの会が擁立する候補に相乗りする方針でした。ただ、乙武さんが当選するかどうかは見通せない。なにしろ彼は、2016年の参院選(東京選挙区)に自民党の公認候補として出馬する予定だったのに、女性5人との『5股不倫』が発覚し、直前に出馬を断念した過去がありますからね。その後、2022年の参院選東京選挙区に無所属で出馬しましたが落選しています」(都政関係者)

 東京15区は、それなりに票を獲得しそうな候補が乱立する可能性があり、激戦が予想されている。乙武候補はスキャンダルを抱えるが、一定の知名度があり、自民、公明、ファースト、国民民主の4党が支援すれば、当選可能と自民党は計算しているらしい。

 ところが、いきなり公明党が、乙武氏支援に難色を示している。

 2日、自民党の茂木幹事長と会談した公明党の石井幹事長は、「現場の反応としては非常に難しい」と伝え、公明党の佐藤国対委員長も「各党が女性候補を擁立するなかで、過去に女性問題があった候補を我が党として大手を振って応援できるのかという問題意識はある」と記者団に明言している。

■公明票は3万票

 もし、公明党が選挙から手を引いたら、乙武氏当選は一気に難しくなる。この選挙区には公明票が3万票もあるからだ。前回の衆院選、東京15区は7万6000票を獲得した自民党の柿沢未途氏が、次点に2万票差をつけて当選している。3万票を失えば落選濃厚だ。公明党はサボタージュするのか。

「さすがに選挙になれば、公明党は動くでしょう。ただ、支持母体・創価学会の女性部が、乙武さんを毛嫌いしているので、ガス抜きというか、内部向けに『自分たちももろ手を挙げて賛成しているわけではない』とメッセージを発したのでしょう。と同時に、自民党に対する脅しですよ。『自分たちが支援しなければ選挙に勝てないぞ』と、脅したのだと思う。ギリギリまで難色を示して、土壇場で公明票の威力を見せつけ、自民党に恩を売るつもりなのでしょう」(自民党関係者)

 東京15区補選は、候補者が乱立し、誰も法定得票数(有効投票総数の6分の1)を得られず、再選挙になる可能性も囁かれている。